老後のひとり暮らしに立ちはだかる<5つの壁>とは。自由なおひとりさま生活が抱える「心と体」両面のリスクを考える
◆心の壁、介護の壁、死後の壁 (3)心の壁 孤独感と社会的孤立のリスクが挙げられます。 家族やパートナー不在の生活では、人との交流が日常的に不足しがちです。 その結果、強い孤独感に苛まれたり孤立に陥ったりすることがあります。 また、生活の悩みやストレスをひとりで抱え込むことで、精神的負担が蓄積していくと、うつ病などを発症する危険性が高まります。 (4)介護の壁 老後に徐々に身体や精神が弱ってきたときに、誰に面倒を見てもらうかも難問です。 回答としては、老人ホームなどの高齢者施設に入居する、になりますが、入居に当たってはまとまった金額が必要になるのであらかじめ用意しておく必要があります。 また、生命保険文化センターが行った調査では、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用が平均8.3万円となっています。 介護を行った場所別に月々の介護費用を見ると、在宅では平均4.8万円、施設では平均12.2万円です。 介護期間は平均61.1か月ですから、相当の費用がかかるとわかります。 (5)死後の壁 老後に自分の世話をしてくれる人や、自らの財産を相続させたい相手がいないとなると、孤独死のリスクが予想されます。 人間はどこでどのように死を迎えるかわかりません。 自分が亡くなったときの遺品、財産が誰の手に渡ってどのように処分されるのかも、まったくわからなくなります。 死後の世界があるわけではないし、自分が死んだ後のことなんて知ったことではないという考えの人もいるかもしれませんが、そういう人であっても、自分の遺体が誰にも見つけられずに腐っていくと考えると、あまりいい気分にはなれません。 人間は誰でもいつか死ぬのですし、死んだ後には遺体と遺品が残るものですから、あらかじめ死後の後始末の算段をつけておいて、いつ死んでもいいように準備をしておくのが「おひとりさま」としての社会に対する礼儀ではないでしょうか。
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