福住仁嶺、GT500コースレコード更新も心境は複雑。12号車IMPULとの交錯で5グリッド降格に|スーパーGT最終戦鈴鹿
12月7日、鈴鹿サーキットでスーパーGT第5戦が今季最終戦として開幕。ダウンフォース、エンジンパワー共に出やすい冬のレースということもあり、予選ではGT500、GT300共にコースレコードが更新された。 GT500の新レコードタイムを叩き出したのは、14号車ENEOS X PRIME GR Supraの福住仁嶺。福住はQ2で1分43秒143をマークし、2022年に国本雄資が記録した1分44秒112を約1秒も上回ってみせた。しかし予選を終えた福住は喜んでいる素振りを全く見せていなかった。 公式練習から14号車のポテンシャルの高さを感じていたという福住。ただ今回持ち込んだ2種類のタイヤのうち、どちらを使うかは悩みどころだったという。結局、専有走行でチームメイトの大嶋和也が履いて好感触を得た方のタイヤはQ1で使い果たしたため、もう片方のタイヤでアタックすることになった福住は不安こそあったものの、実際にはタイヤにそれほど大きな違いはなかったという。 「結局どちらのタイヤもそんなに悪くなかったという印象です。Q2に向けてのアジャストも非常に良かったと思います。完璧なアタックとは言えませんが、それでもQ2はトップタイムで終えることができたので良かったと思います」 そう振り返った福住。ただ「完璧なアタックではなかった」と言う通り、心に引っかかる部分はあるようだ。1分42秒台のタイムは見えたのかと問うと「僕が失敗したと思っている部分で実際どれだけロスしているかは分かりませんからね……。ただ、それも含めて結果論ですし、それも含めて実力だと思うので。悔しかったですね」と厳しめの評価を下した。 そして福住にとって痛手となったのは、アタックに向かう直前のシケインで12号車MARELLI IMPUL Zとあわや接触となった一件だ。 Q2残り1分20秒というところ、福住は翌周のアタックに向けて、前のマシンと間隔を取ろうとしていた。しかしその後方からアタック中の12号車IMPULが猛接近。福住が乗る14号車ENEOSはシケイン入口で12号車の行く手を阻むような形となってしまい、接触を避けようとした12号車がスピンした。 この一件については後に14号車側に「他車の妨害となるようなスロー走行」があったとして、5グリッド降格ペナルティが出された。Q1、Q2の合算タイムで予選3番手となった14号車だが、決勝は8番グリッドに沈むことになる。 当時の状況について、福住はこう説明した。 「アタックの直前で後ろから12号車が来ましたが、(西日の影響で)すごく眩しかったですし、無線も何もなかったので、後ろから来ていることも知りませんでした。後ろから突然現れたような感じでした」 「僕もそこでマップをいじったりしながら、前の24号車(リアライズコーポレーション ADVAN Z)との間隔をなるべく開けるためにゆっくり走っていましたが、そうしている時に後ろから(12号車が)来ました。後ろで何が起こっていたか、バックモニターで全部見えていたので、それに対する動揺も結構ありました」 後ろから迫る12号車の対応については、チームだけではなく「自分でも何かできた部分もあると思います」と語る福住だが、いずれにせよ、ほろ苦いコースレコード更新となってしまったようだ。
戎井健一郎
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