Mr.ビーンも驚愕、ロールス・ロイスの修理費は想像以上!|『Octane』UKスタッフの愛車日記
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、Mr. ビーンでお馴染みのローワン・アトキンソンが愛車のロールス・ロイスファントムの高額な修理費についての苦悩を語る… 【画像】ローワン・アトキンソンが所有するロールス・ロイス ファントム(写真4点) ーーーーー 『Octane UK』を定期購読をしてくださっている方は、昨年11月のヒストリックス・オークションで、2004年式のロールス・ロイス ファントムを買い戻した話を『Octane UK』の253号で書いたことを覚えているだろう。新車で購入し、2009年まで所有していた車だ。あれから多くの修理が行われ、今も車は快調に走っている。できる限り乗ってはいるものの、やはり心配していた通り、小さな問題があちこちで起きている。 ロンドンからイングランド北東部まで日帰りで走行し、帰ってきたときにヘッドライトが点いていないように感じた。そこで車を止めて確認すると、点いてはいたものの、非常に暗くなっていた。バルブは2000年代に好まれたキセノンライトで、どうやら年月とともに劣化するらしい。なんと20年の間に明るさが約50%失われていたのだ。まさか、そんなことがあるとは知らなかった。バルブは1個あたり200ポンド(約4万円)で交換したのだが、これはかなり高額だ。多くのクラシックカーのバルブは10ポンド程度で販売されていることを考えると、この差は驚きである。 現在、“モダンクラシックカー”を何台かレストアしているが、正直なところ、ファントムにはMGBの面倒を見るのとは比べ物にならないほど費用がかかっている。もちろん、ファントムのような高級車は市場でも特に高額な部類に入る車だが、それにしても正規のスペアパーツの価格は正直言って途方もない。例えば、ルームミラーのガラスが剥離していたのだが、残念ながらガラスのみの交換はできない。新品のルームミラーは1500ポンド(約30万円)。さらに、ナビやメディア画面のユニットが回転機構に組み込まれているのだが、この画面も機構も、オークションから車を持ち帰って以来ずっと作動していない。この修理費用だけで7500ポンド(約150万円)もかかるからだ。 ここで疑問が浮かぶ。これほど高額な維持費を考えると、一体どれだけの人がクラシックカーを維持できるのだろうか?たったいくつかのパーツで、車の価値の5分の1もの費用がかかってしまう。作業を担当しているエセックスのP&Aウッドは、中古部品の調達に力を入れており、さらに「パラゴン」と呼ばれるロールス・ロイス正規ディーラーの制度も取り入れている。これは10年以上経過した車に対して、労務費と部品代を20%割引してくれるというものだ。この制度は助かっているが、それでも「多額のお金の80%」はまだまだ多額のお金だ。ロールス・ロイス・モーター・カーズが、旧車を維持しようとする人々をもっとリスペクトして、もう少し手頃な価格で部品を提供してくれたら嬉しい。ロールス・ロイス・クラシックさん、どうだろうか? 塗装についてもまだ考え中だ。再塗装された「ブラックアダー・ブルー」の色が少し違うことには目をつぶろうと思っていたが、強烈な日差しの中で車を見たときに、表面の質感が本当に良くないことに気づいてしまった。この車にはもっと相応しい仕上がりが必要だ。冬の間に何か対策を取るかもしれない。 内装がかなりへたって汚れていたため、改善のためには「コノリシング」と呼ばれる再染色を考えたこともあった(個人的にはこの方法はあまり好きではない)。しかし、幸いなことに、スチームクリーニングだけで写真を見てわかるように見違えるほど綺麗になった。 結局、今では、この車に支払った金額と同じだけの費用をかけたことになる。経済的には無駄が多いかもしれないが、不思議とそれだけの価値を感じている。この車を運転することが大好きで、車を本来のあるべき状態に戻すことに大きな満足感を感じている。それに、もし新車を新たに製造すると30トン以上の二酸化炭素が排出されるが、その代わりにこの車をレストアすることで、環境への負荷を大幅に減らすことができたのだ。 文:Rowan Atkinson
Octane Japan 編集部