「マイナ保険証」“薬局グループ経営者”が語る導入の“実情”…「いま、現場で起きていること」とは
“大臣・官僚”ではなく“薬局で働く人たち”が「矢面」に立たされる
患者の側としては、マイナンバーカードの取得も、保険証のマイナンバーカードへの紐づけも任意のはずである。にもかかわらず、薬局に対し、「調剤報酬の加算」をテコにして、マイナ保険証の利用を促すための働きかけを事実上強制する手法がとられていることになる。 他方で、厚生労働省の発表によれば、9月末時点でのマイナ保険証の利用率は13.87%にとどまっている。この数字は、政府によるマイナンバーカードのメリットのPRが功を奏していないことを端的に示している。 実際に、薬局経営者で薬剤師でもあるX氏は、マイナ保険証の導入によるメリットがあることは一部認めてはいるものの、政府がPRするメリットとはズレがあると話す。 また、日本に暮らす人であれば全員が加入することになっている健康保険の資格確認の方法を、任意取得であるはずのマイナンバーカードに「一本化」するという制度設計についても、国民の理解を得られているとは言い難いだろう。 その状況の下で、マイナ保険証の利用率の向上のために、それを推進する担当省庁の大臣や官僚ではなく、薬局の経営者やそこで働くスタッフが患者とのやりとりの矢面に立たされている。X氏の薬局グループで起きていることは、薬局業界全体の問題であることが推察される。 10月27日の衆議院議員総選挙の後に発足する新政権が、マイナ保険証への一本化という現在の政府方針についてどのような態度をとるのか、注目される。
弁護士JP編集部