祝福のシャワーは“拒否” 岩田寛は自身初の年間2勝を控えめに喜ぶ
◇国内男子◇カシオワールドオープン 最終日(24日)◇Kochi黒潮CC(高知)◇7350yd(パー72)◇晴れ(観衆2990人) 【画像】「カシオワールド」遼君のいい笑顔 プレーオフに備えて練習していたパッティンググリーンの周りを、岩田寛は駆け回った。喜びのあまり…ではなく、同僚たちによる祝福のウォーターシャワーから逃げに逃げる。「風邪をひいたらイヤだから」。仲間の遠くでパターを高く掲げ、精一杯の笑顔で応えた。
最終組がスコアを伸ばしあぐねた大混戦を、バックナインで抜け出した。リーダーボードを確認した後半13番で残り136ydの2打目を9Iでピンそば1mにつけてバーディ。さらに15番から2連続バーディを奪った。 17番では3mのフックラインを沈めてパーを拾い、1打のリードをキープして迎えた最終18番(パー5)。決めれば勝ちを引き寄せる1m強のバーディパットを外した。「初日からやってきたことが最後にできなかった。ミスパットよりもそれができなかった」と悔やんだが、「68」で通算14アンダー。後続に追いつかれることなく、6月「BMW 日本ツアー選手権 森ビル杯」以来の今季2勝目、通算7勝目をマークした。 「(優勝した)実感がまだない。ずっとプレーオフだと思っていたので」。自身初の年間2勝に感慨深い思いがわいてこない。後ろの組の清水大成が18番で2オンに成功しながら、3パットのパーにとどまったことで、プレーオフを回避した。
大勢の人の前ではとことんシャイな43歳。試合中も「自分のことしか考えないので、(相手のスコアは)気にならない」と他人にそっけないようで、普段から周囲への愛情は深い。「(負けた)大成が泣いていて、もらい泣きしそうになっちゃって。声をかけようと思ったんですけど、僕も泣いちゃいそうでやめました」 毎年本大会はシード争いの最終局面で、翌年の職場をかけた争いが繰り広げられる。「嫌いな人がいないから、誰を応援したらいいか分からない」と長年、出場権は安泰の岩田の心境も揺らぐ。この日、圏外から賞金シード復帰を果たした上井邦浩をはじめ「大ちゃん(片岡大育)とか、(市原)弘大とか」と仲間のスコアも気になった。 2日目には谷口徹がシードをつなげず涙した。「生涯獲得賞金上位25人」の資格行使による来季出場を迷う56歳について、岩田は「(権利を)使わないって言ってましたけど、使うと思いますよ。使わせます。記事に書いといてください」と話した。「いないと…寂しいじゃないですか」