他力本願でG1は勝てない 帝王・山田裕仁氏が積極性に欠けた地元南関勢の走りに“喝”/オールスター競輪回顧
脇本選手や、かなり調子がよさそうだった深谷知広選手(96期=静岡・34歳)も勝ち上がりを逃すなど、本当にタフな戦いの連続。決勝戦に勝ち上がった9名は、当然ながら文句なしにデキのいい選手ばかりです。準決勝でライン3名による上位独占を決めたのもあって、北日本勢は4名が決勝戦に進出。あとは2車ラインが2つに単騎が1名というのが、決勝戦のメンバー構成です。 4名が結束した北日本勢の先頭は、新山選手。このシリーズでは持ち前のスピードと粘り強さを存分に発揮し、準決勝も強い内容で逃げ切っています。番手を回るのは佐藤慎太郎選手(78期=福島・47歳)で、3番手を守澤太志選手(96期=秋田・39歳)、最後尾を渡部幸訓選手(89期=福島・41歳)が固めるという布陣。車番には恵まれませんでしたが、しっかり主導権を奪って、この“数の利”を生かしたいところです。 南関東勢は、松井宏佑選手(113期=神奈川・31歳)と郡司浩平選手(99期=神奈川・33歳)の地元タッグ。準決勝で豪快な捲りをみせた松井選手が、ここは先頭を務めます。そして近畿勢は、ワンツーを決めた準決勝と同じく、窓場千加頼選手(100期=京都・32歳)が前で、古性選手が番手という並びで勝負。好調モードの選手ばかりが揃った決勝戦においても、窓場選手のデキのよさは「超抜」級です。
そして単騎で勝負するのが、昨年の覇者でもある眞杉匠選手(113期=栃木・25歳)。選択肢が少ない戦いとなるだけに、中団でうまく立ち回りたいところです。北日本が楽に主導権を奪うような展開にしたくないのは、眞杉選手もまったく同じでしょう。デキは上々で自力も十分ですから、単騎でもけっして侮れません。昨年の競輪祭(GI)を快勝したときも、単騎だったわけですからね。
決勝戦スタート!近畿勢が前受け、郡司が譲る展開に
それではそろそろ、決勝戦の回顧に入りましょう。レース開始を告げる号砲が鳴ると同時に、内から1番車の郡司選手と2番車の古性選手が飛び出します。内外併走での争いとなりますが、ここは郡司選手が引いて、古性選手がスタートを取りました。これで近畿勢の前受けが決まって、南関東勢は3番手から。北日本勢の先頭である新山選手は5番手からで、最後方に単騎の眞杉選手というのが、初手の並びです。 後方に位置する新山選手が動き出したのは、赤板(残り2周)手前の4コーナーから。赤板通過のタイミングに合わせて、先頭の窓場選手を外から斬りにいきます。窓場選手はスッとは引きませんでしたが、打鐘前のバックストレッチで徐々に位置を下げて、北日本勢の後ろにつけました。後方7番手の松井選手や最後方の眞杉選手はこの間も動かず、レースは打鐘を迎えます。