2020年は「密」コロナ蔓延 これまでの「今年の漢字」は?
その年の世相を表す漢字一字を選ぶ「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会主催)が京都・清水寺で14日、発表され、今年は「密」でした。新型コロナウイルスが世界的に蔓延する中、感染防止対策として「3密(=密閉・密集・密接)」が提唱され、国民の生活様式に大きな影響を与えました。 【年表】新型コロナウイルスをめぐる主な動き(第1波) これまでの26回で、どんな漢字が選ばれてきたのか、振り返ります。
阪神大震災、オウム事件の1995年にスタート
「今年の漢字」は阪神・淡路大震災が起きた1995(平成7)年から始まりました。この年の漢字は「震」。1月に阪神・淡路大震災、3月にはオウム真理教による地下鉄サリン事件と、まさに世間を震撼させる災害・事件が起きました。 腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒やBSE(いわゆる狂牛病)不安が広がった1996年は「食」、山一證券や北海道拓殖銀行が経営破たんし、日本経済に大きなショックが走った1997年は「倒」、和歌山毒物カレー事件が起きた1998年は「毒」と、当初はやや暗い漢字が続きました。 2002年は日本経済がバブル経済前の水準に戻り、「亜麻色の髪の乙女」や「大きな古時計」など昔の歌がリバイバルヒットし、北朝鮮拉致被害者が24年ぶりに帰国したことなどから「帰」が選ばれました。 少し異色だったのが2003年。この年の漢字は「虎」で、星野仙一監督率いる阪神タイガースが18年ぶりのセ・リーグ優勝を果たし、トラ・フィーバーに沸きました。 2005年、2006年は皇室関連のニュースに関係した漢字を選出。紀宮さまと黒田慶樹さんのご成婚で「純愛」がブームになった2005年は「愛」、秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまが誕生した2006年は「命」でした。天皇陛下が即位され、元号が「平成」から「令和」に改まった昨年2019年は「令」。一連の代替わり行事が執り行われました。 政治の動きが漢字になった年もあります。オバマ氏が「チェンジ」を訴え、米大統領選に勝利した2008年は「変」、政権交代によって民主党政権が誕生した2009年は「新」が選ばれました。2015年は「安」。安倍内閣の下、集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「安全保障関連法」が成立しましたが、法案に反対する市民らが国会周辺を取り囲むなどデモが活発化、世論を二分しました。 食品の産地や賞味期限、政治家の年金記録など、さまざまな偽装・改ざんが問題になった2007年は「偽」、東日本大震災など大災害が相次いだ2011年は、家族や仲間との絆の大切さを再確認したとして「絆」が選ばれています。 ちなみに、過去26回のうち、3回選ばれた漢字があります。それは「金」です。女子マラソン・高橋尚子選手の金メダルが鮮烈だったシドニー五輪(2000年)、女子レスリング・吉田沙保里選手が五輪3連覇を果たしたロンドン五輪(2012年)、そして、2016年のリオ五輪では内村航平選手擁する体操男子団体など12個の金メダルを含む史上最多のメダルを獲得しました。五輪の金メダルがもたらす印象の強さがうかがえます。