アップル「Final Cut Pro 11」リリース。空間ビデオ編集が可能に
Appleは13日(米国時間)、Apple Vision Pro向けの空間ビデオ編集に対応したソフトウェア「Final Cut Pro 11」を発表。これと合わせ、iPad用Final Cut Pro、Final Cut Camera、Logic Proにおいてもアップデートを実施し、様々な新機能を追加した。 【画像】Magnetic Maskの切り抜きイメージ ■ Final Cut Pro 11 Final Cut Pro 11では、AIを活用した2つの新しいツール「Magnetic Mask」、および「Transcribe to Caption」を実装。Magnetic Maskでは、グリーンスクリーンや時間のかかるロトスコープを使うことなく、ユーザーはビデオクリップ内の人物やオブジェクトを簡単に分離できるようになった。 またTranscribe to Captionsでは、Appleがトレーニングした音声を書き起こす大規模言語モデルを利用し、タイムラインでクローズドキャプションを自動的に生成できる。 Apple Vision Pro向けの空間ビデオ編集に対応したのもポイント。ユーザーは映像をインポートしてエフェクトを追加したり、色補正を行なったり、タイトルでプロジェクトを強化したりできる。タイトルと撮影した映像の奥行き位置も、編集プロセス中に調整可能。 なお、空間ビデオクリップは、Vision Proで直接撮影するか、iPhone 15 Pro、iPhone 16、iPhone 16 Proのほか、キヤノンの新レンズ「RF-S7.8mm F4 STM DUAL」と「EOS R7」を組み合わせれば撮影可能という。 Macディスプレイでは、左目と右目の角度をプレビューするためのさまざまな表示モードを選択可能。Mac Virtual Display 8を使用すれば、編集内容をApple Vision Proに取り込み、ポータブルディスプレイを作成できる。 今年後半には、Mac Virtual Displayを新しいパノラマサイズに拡張し、2台の5Kモニターを並べた場合に相当する、32:9アスペクト比の超ワイド曲面ディスプレイを作成できるようになる予定。空間ビデオは、ユーザーの写真ライブラリに直接エクスポートしたり、Vision Proですぐに表示したり、ネイティブのvisionOS Vimeoアプリにアップロードして他の人と共有可能。 ■ iPad用Final Cut Pro 2.1 Final Cut Pro for iPad 2.1では、「Enhance Light and Color」機能が追加。ビデオや静止画の色、カラーバランス、コントラスト、明るさをグラフィカルなUIとタップ操作で調整することができる。 ほかにも、タイムラインでクリップの高さを拡大・最小化できる新しい垂直ピンチジェスチャ、ピクチャーインピクチャーモードでビューアーのサイズと位置を動的に調整する機能、iPhone 16 Proでの90/100/120fpsでの録画のタイムラインサポートなどに対応した。 ■ Final Cut Camera 新たにLogエンコードされたHEVCビデオのキャプチャに対応。Logの広いダイナミックレンジを活用しながら、ファイルサイズの縮小とさらに長い録画時間を確保できる。 Logでの録画中にLUTプレビューを有効にすることもでき、Apple Log LUTを使用してSDRまたはHDRで元のシーンの鮮やかさを見せることが可能。iPhone 16 Proを使用すると、ユーザーは4K120fpsの映像を録画し、それをiPad用Final Cut Proにインポートして編集をスタートできる。
AV Watch,阿部邦弘