新型核燃料棒の研究拠点、東北大に新設へ…米国の試験炉頼み脱却で国際競争力を強化
原子力人材の育成 必要
政府が事故耐性燃料(ATF)の研究拠点を新設する狙いは、他国に依存せずに独自の原子力技術を発展させることにある。世界的に脱炭素の安定的なエネルギー源として原発回帰の潮流があり、ATFの開発技術の国産化が進めば、日本の原子力分野での国際的な競争力向上にもつながる。
ATFは現行の被覆管(ひふくかん)を新たな素材にしたり、ウランに加工を施したりして重大事故の発生を抑える。日本では2025年、原発の60年超運転を可能にする新制度が始まるが、長期運転を推進する観点からも、安全性を高める技術開発に取り組む意義は大きい。
研究拠点が大学構内に設けられることで、原子力人材の育成につながる可能性も広がる。政府や日本原子力研究開発機構(JAEA)は、様々な研究機関や企業の知見を結集しながら、産官学を挙げて開発を進めるべきだ。(科学部 沼田良宗)