ドイツの美しき歴史都市「ブレーメン」市民が考える“2038年のサステナブルな社会”とは?
2038年までに「気候中立」を実現する!
ブレーメン州は、2038 年までにクライメイト・ニュートラル(気候中立)の目標を設定している。気候中立とは、人間の活動で排出されるCO₂の量を、削減と吸収などで実質的にゼロにすること。温室効果ガスの排出を最小限に抑え、空気中のガスを森林再生や炭素捕捉技術などを通じて吸収・除去することで、全体として「中立」な状態を達成しようというものだ。ブレーメン州は企業と市民全員の協力で、水素インフラを構築し、自動車の数を3分の2に 削減したうえで、その半数を電気自動車に変換、さらに太陽光パネルの設置と省エネ住宅への改修を支援を通じて実現しようとしている。 街の中心部に設置されたインタラクティブインスタレーション「Moin 2038」。数字のオブジェについたボタンを押すと、「CO₂ 排出のない社会とは?」「誰もが健康に暮らせる空間とは?」「新しい仕事の形態は?」「コミュニティ活動はどうなる?」など、2038年の生活様式を語る音声が流れる。オブジェには、2038年のブレーメンに暮している(であろう)市民の名前と職業が記されていて、彼、彼女らからのメッセージが聞けるという設定だ。ちなみに「Moin」とは、ドイツ北部の「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」に当たる挨拶。
市庁舎の隣に立つ聖ペトリ大聖堂は、2つの尖塔を持つブレーメンのランドマークだ。1042年に建設が開始されたゴシック様式のファサード、教会内の大きな窓を飾るステンドグラス、後方にある幻想的なバラ窓が印象的。何度も大規模改修がくり返されているが、初期のロマネスク様式とゴシック様式はそのまま残されている。 ふたつの塔のうち、ひとつは一般公開されていて、265 段の螺旋階段で上がれる。地上90m超の高さから、川に囲まれ、レンガ屋根ひしめくブレーメンの美しい街並みを望める。教会の奥にある博物館には、銀の祭壇や中世の司祭の霊廟、祭服、レリーフなどが展示され、見学は無料だ。