黒沢清×菅田将暉、映画『Cloud クラウド』が描く「現代」という恐怖
日本映画で実現した"銃撃戦"の舞台裏とは?
──黒沢監督はアクション映画という分野で、ある意味、夢を実現されたのだと思います。特に、物語の後半に起こる銃撃戦のシーンは圧巻でした。 黒沢 ドンパチやっていますけど、もちろん、あれは全部本物ではありません。日本では実銃を使うことができないので。でも、リアルだろうと思えるような描写にしようとは思っていました。もちろん僕も実際にあんな撃ち合いなんかしたことないし、"映画的なリアル"でしかないんですけど。俳優陣もスタッフも僕も、一生懸命それを実現しようとしました。ピストルを本物っぽく見せるとか、なかなか大変なんですよ。照明の当て具合とか、音も含めてライフル銃はこんな反動が来るとか。偽物ですから、そんなに反動が来ないですよ。でも、「撃つと反動がこんなふうに来るんだ」とか、そこがいちばん口うるさく演出した部分でしょうね。「こういう死に方をしてくれ」みたいな。僕の欲望に沿って、皆さん一生懸命協力してくれたなと、感謝しています(笑) 菅田 監督がお手本を見せてくれるんですが、銃の扱い方がすごい上手なんです。現場でもみんな口を揃えて言っていました。僕は、拳銃を持ったことがない、という設定の役だったのでそれほど難しくはなかったんですが。 ──銃撃戦のシーンは何か参考にされたんですか? 黒沢 拳銃の照明の当て方は、マイケル・マンの映画をいちばん参考にしました。必ず銃身がキラッと光る。日本だと、刀には照明をギラッと当てるんですけど、拳銃となると「どうせプラスチック製だよな」とか言って、結構無防備に出しちゃうんです。そこはプラスチックですけど、僕らが使ったものも、照明の当て方によっては金属に見える。『コラテラル』(04年)や『パブリック・エネミーズ』(09年)とか。それからスピルバーグの映画ももちろん参考にしています。スピルバーグって戦闘状態を描くの大好きですからね。 ──菅田さんも30代に入られ、キャリアも重ねてこられましたが、実現したい夢はありますか? 菅田 30代になってから、いま1年半ぐらい経ちますね。でも、考えてみるとやっている仕事はすべて、20代でやってきたことの流れとか繋がりから生まれているものばかりです。多分、大きな目標というより、これまでやってきたことをより濃く、深くやっていければいいなとは思います。もちろん、新しいことにチャレンジし続けたいとも思っています。それから、この作品もそうなんですが、本当にこれだけはやりたいっていうものを逃さないようにするというのは大事ですね。そのためには毎日、ちゃんと"生活"をしていくことが重要なのじゃないかと思います。