NewJeans、G-DRAGON、大統領への弾劾要求デモまで...2024年、K-POPが生んだ注目すべき7つの瞬間
6.バーチャルアイドルPLAVE、音楽番組で1位を獲得
日本で長い歴史を持つ「バーチャルアイドル」文化。韓国ではこれまで一部のマニア層に支持されるサブカルチャーとして扱われてきたが、いまやその立場は大きく変わりつつある。バーチャルアイドルはもはや周縁的な存在ではなく、K-POPシーンを彩る重要なプレイヤーへと進化を遂げたのだ。6人組バーチャルガールズグループ「異世界アイドル」、5人組ボーイズグループ「PLAVE(プレイブ)」は、MZ世代を中心に大きな支持を得ている。2023年にデビューしたPLAVEは、今年音楽番組で1位を獲得し、音源チャートでも上位圏に名を連ねるなど、その人気ぶりを証明した。また、日本の雑誌「anan」の表紙を飾り、グローバルな影響力も示した。そして、伝統的なK-POPの名門事務所「SMエンターテインメント」は、aespaの世界観と連動するバーチャルアーティスト「nævis(ナビス)」をデビューさせ、その完成度の高さから高い評価を受けている。nævisは独自のストーリー性とクオリティで注目を集め、多様なコンテンツを通じてファンとつながり続けている。いまやバーチャルアイドルは単なる補完的存在ではなく、独立したアーティストとしてK-POPの新しい未来を切り拓いている。
7. 大規模デモを彩ったK-POP応援棒
K-POPファンが「推し」を応援するための必須アイテム、「応援棒(ペンライト)」。いまや、K-POPファンダムの象徴とも言えるこのアイコニックなアイテムは、その輝きをコンサート会場だけにとどめてはいない。2024年12月、韓国では大統領による違法な戒厳令発令という衝撃的な事態が発生。それに抗議し、数十万人もの市民が大統領の弾劾を求めて街頭に立ち上がった。国会議事堂前を埋め尽くした群衆の中で、特に目立ったのはK-POPの主要な消費者層である10代から30代の若者たちだった。彼らは平和デモの象徴として、それぞれ自分たちのペンライトを手に集結。会場にはいつしかデモのアンセムともなった少女時代の「Into the New World」が響き渡り、さまざまなK-POPソングが人々をひとつに繋げた。グループの垣根を越えたファンダムたちが共に歌い、共に立ち上がる。ペンライトはもはやただの応援道具ではない。それは「連帯」と「希望」の象徴として、K-POPの新たな歴史を照らし続けている。 soulitude 日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。日韓の音楽にまつわる記事の執筆やキュレーションなど、コンテンツ制作を行う。2022年から韓国大衆音楽賞とKorean Hiphop Awardsの審査員を務める。
文:soulitude