platform 3(東京) 3人で東中野のオルタナティブ書店「人が集まれる場所にしたい」
潟見&ともまつ&丹澤が選ぶ、思わず立ち止まって読みたくなる3冊
●『詩と散策』ハン・ジョンウォン(書肆侃侃房) 詩人である著者が、日常生活の中で感じたことを詩とともに綴ったエッセイ集。雪が積もった夜のような静けさのある文章が心地いいです。著者が紹介したり引用する詩を通して、その魅力に気づけるのも嬉しいポイント(丹澤弘行) ●『Non fa niente』LADYS 性別適合手術を受けるトランス男性の1年を描いた作品。結婚している主人公が、手術を受けるために自分自身の複雑な性自認や性的指向を他者に理解してもらうことの困難さがリアルに描写されています。そんな中、主人公はあるカフェで、自分をジャッジしない男性と出会い、この出会いが物語を予期せぬ方向へと導いていきます。全編タイ語ですが、現在日本で入手できるのはplatform3だけなので、ぜひお店に見に来てください。(ともまつりか) ●『おばあちゃんのガールフレンド』台湾同志ホットライン協会(サウザンブックス) 元々、loneliness booksでは台湾で出版された原書を取り扱っていて、その本を入手してくださった方が、ぜひ日本語翻訳で出版したい、とクラウドファンディングで制作された経緯がある本です。そんな縁で本の装丁デザインも担当させてもらった愛着もあります。 2019年の同性婚法制化後、台湾では性的少数者が、社会の中で当たり前の存在として受け入れられつつあるそうですが、そんな中でも、まだまだ可視化されることが少ない中高年のレズビアンたちはどんな人生を送ってきたのか…収録された17人の人たちのありのままの語りを読むと、中高年の世代はきっと辛いことが多かっただろうと勝手に思い込んでいたステレオタイプなイメージが、軽やかに覆されることでしょう。(潟見陽) (文・写真:朴順梨)
朝日新聞社(好書好日)