platform 3(東京) 3人で東中野のオルタナティブ書店「人が集まれる場所にしたい」
明かりに惹かれて集う人のための3番線
2024年8月20日にオープンしてからは「あっという間」の日々だったと3人は振り返る。展示は1~2週間で新たなものに変わるし、12月には教育関係者が集まって学校の男性性について語るイベントが開催されるなど、人が集まるための企画も積極的におこなっている。 「人が集まる場所を作りたかったので、イベントや展示でいろいろな人が活用してくれ始めているのが、本当にうれしくて。ふらっと立ち寄る近所の方がいらっしゃるのが、以前にはなかった傾向です。『明かりがついていて気になった』という方がいるのは、すごく心強いです。自分はソウルに行くと本屋巡りしかしなかったりするので、海外の人が東京に来たら寄りたい場所になったらいいなって。今はそう思っています」(潟見) 「たとえばずっと写真を撮っていた友達が『ここで写真展をやりたい』と言ってくれるなど、場所を持ったことで自分も周りも、やりたいことを叶えられやすくなりました 。学校の男性性のイベントは教員の方々が登壇するのですが、教育に関するイベントだけど、教育関係者だけに閉じるのではなく、他の方も巻き込んだイベントにしたい、それならこの場所がピッタリなのでは』ということで決まりました。 それまではちょっと距離があるように思えていた人たちとも集まることができる。場所を持つ楽しさを味わった4カ月だったし、これからもそれを味わいたいと思っています」(丹澤) 2番線までしかない東中野駅の、オルタナとしての3番線になるべく付けた店名だと想像していたけれど、それだけではない意味を込めたと、潟見さんは言う。 「うちで作った本や(TT) press のZINEを売りに行くためにソウルに滞在した時に、新村の民泊で『名前をどうしよう』と3人で話し合ったんです。最初はロンリネス&TTなんとかにしようとか言っていたのですが、ある夜、空間の場所をつけたらどうかと考えて。タイポグラフィー学会のワークショップ会場だった、弘大のプラットフォームPというアートセンターで親交を深めたし、東中野駅のホームすぐ横で人が交差する場所だし、それに3人だから、この名前はどうかなと」 「新宿ほど騒がしくないけれど、東京の西側からも東側からもアクセス便利。実際に来てみたら、微妙な塩梅の場所だった」(潟見)という東中野の空間は、窓から漏れる明かり同様、3人が醸す空気と距離感がどこまでも柔らかい。 新宿の喧騒からすぐの場所に、孤独や心配事を癒すヒントになるような本と出会える場所がある。これこそ、地元から都会に出てきた醍醐味というものなのかもしれない。そんなことを思いながら東中野駅1番ホームへを向かった。