早産児ケアは家族を“真ん中”に 「ファミリーセンタードケア」模索続く 出生体重664グラムの赤ちゃん 家族が積極的にケア参加 一緒に成長…母「チームに入れてくれてありがとう」
看護師「モニターではなく、表情を見て」
当初は心拍数などが表示される機械ばかりを気にしていた由里絵さん。ある日、看護師から「モニターではなく表情を見てあげて」と言われました。 母・由里絵さん: 「その時は、本音は『わかんないよ…』って思ったんですけど。でも時間をかけて自分なりに観察しようって思うようになって。どう思ってるかなとか、呼吸状態とか、ちょっとした異変にも気づけるようになってきたかなと思ってます。まだまだですけど」
退院に向けて…できるケアを
由里絵さんはこの日初めて痰の吸引に挑戦しました。 母・由里絵さん: 「何秒くらいとかあります?」 看護師: 「あまり長くやると苦しくなっちゃう」 吟糸ちゃんは10月、成長を促す為の頭蓋骨を拡大する手術と胃ろうを造設する手術を無事、乗り越えました。現在の体重は9300g。表情が豊かになり、手足の動きも活発になっています。 痰の吸引は自宅に戻るためのステップの一つです。 看護師: 「ういちゃん、いいかい?やってみるよ。せーの、はい」 無事に完了―。 母・由里絵さん: 「いろんなケアの延長ではあるんですけど、初めてやることは緊張しますね。だんだんです。教えてもらいながら、一緒にやりながら、ですね」
伊那で待つ家族は…
♪「ハッピバースデー、トゥーユー」 こちらは2023年5月の映像。この日、2人のお兄ちゃんが初めて吟糸ちゃんと対面。1歳の誕生日を祝いました。 母・由里絵さん: 「やっと会えたね」
あれから半年。2人は自宅で一緒に過ごせる日を心待ちにしています。 母・由里絵さん: 「ういとくんに会って、何したい?」 次男・らくちゃん(4): 「えっと、レゴブロックで遊びたい!」 長男・こうちゃん(6): 「ういとくんに、ごはん食べさせたい」
父親の竜也さんは退院後のことを考え、時間の融通が利く仕事に転職しました。 父・高橋竜也さん(36): 「目の前のことが精いっぱいだったので、そこまで考えられなかったんですけど、徐々に成長してきたところで、自分は家の方も守らなければいけない。小さく生まれたっていうのも意味があることで、個性というか、自分たちの家族の成長にもつながるっていうのがいいのかなと思います」 竜也さんは「こうした家族がいることを知ってもらい、周囲の理解や支援が広がれば」と話しています。