Amazon に対抗する小売業者のホリデーセール前倒し競争、その戦略とリスクとは?
10月に行うセールのタイミングとリスク
一般的にいって、ホリデーセールのカレンダーは5年前や10年前とは違ってきている。買い物客はセールでスタートダッシュを決めるために、ホリデーシーズンの買い物を早い時期からはじめることが多くなっている。調査助言会社のガートナー(Gartner)の調査によると、今年は消費者の32%が7月から11月にホリデーシーズンの買い物をはじめる予定だと回答しており、これは2022年(31%)と2023年(28%)を上回っている。 一方、インターネットメディア会社のバンクレート(Bankrate)は買い物客の48%が8月から9月までにホリデーシーズンの買い物をはじめる予定であることを明らかにした。 こうした買い物客にアピールしたい小売業者は、夏と秋のプロモーションを強化するプレッシャーにさらされている。しかし、こうしたセールのすべてが同じ条件にあるというわけではない。そして、支出をしっかり管理している買い物客に対しては、セールの条件が運命を左右する可能性がある。 小売業者は会員登録やロイヤルティプログラムへの参加を促すために、こうしたプロモーションを利用することもある。たとえばAmazonの10月のセールは、月会費14.99ドル(約2200円)または年会費139ドル(約2万650円)以上のプライム会員に登録したユーザーだけを対象にしている。 一方、ウェイフェアのウェイデーセールはウェイフェアの買い物客全員が対象だが、ウェイフェアプロフェッショナル(Wayfair Professional)会員には追加の特典が用意されている。ディックススポーティンググッズのフラッシュセールも参加費は無料で、ナイキ(Nike)、アディダス(Adidas)、ニューエラキャップ(New Era Cap)などのトップブランドが対象となっている。 10月12日まで秋のウェルネスセールを開催しているドラッグストアのCVSの場合、ウェルネス商品の割引を受けるにはエクストラケア(ExtraCare)カード会員になる必要があるが、このプログラムには無料で参加できる。 テクノロジーソリューションプロバイダーのCI&Tの小売戦略ディレクターであるメリッサ・ミンコウ氏は、10月のセールについては複雑な感情を抱いていると語った。一方で、消費者は今、値引きやお買い得商品に非常に敏感だという。しかし同氏は、プロモーションイベントが次から次へと開催されることについて、小売業者はある程度のリスクを考慮する必要があるとも考えている。 「こうしたイベントをなんでも早期に開催するのは、ほかのブランドと競争するのと同じくらいに自分自身と競争するようなものだ」とミンコウ氏は語った。「今、すべての利幅を譲ったら、11月と12月に譲れるものはあるだろうか? 余裕があるなら賢いことだと思うが、セールをいつ開催するかは、本当に戦略的に考える必要があると思う」。 [原文:Specialty retailers are rolling out October sales to compete with Amazon] Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:坂本凪沙)
編集部