テザー発行元、捜査報道を否定－「破綻できないほど巨大」な仮想通貨
（ブルームバーグ）： 米国の規制・検察当局が暗号資産（仮想通貨）企業に対しここ１年ほどで起こした行動の中で、テザー・ホールディングスを取り締まる可能性を示唆する動きほど、デジタル資産業界を揺るがすものはないだろう。
テザー社はドルを代替するデジタル資産として設計された仮想通貨「ＵＳＤＴ」の発行元で、その時価総額は約1200億ドル（約18兆円）に上る。 テザーとも呼ばれるＵＳＤＴは仮想通貨としては３番目の規模で、１日当たりの取引量が最も多い仮想通貨。伝統的な通貨を取引に使用できない市場において、ドルを代替していることが背景だ。
デジタル資産を研究しているヒラリー・アレン米アメリカン大学教授は24日のインタビューで、「暗号資産業界全体にとってテザーは破綻できないほど巨大だと思う」と述べ、「もしテザーの価値が明日ゼロになったら、暗号資産経済は悲惨だろう」と指摘した。
米紙ウォールストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）は25日、テザー社が制裁措置やマネーロンダリング（資金洗浄）防止規定に違反している可能性があるとして連邦当局が同社を捜査していると関係者の話として報じた。実際にそうであれば、米財務省が制裁を発動し得る。
だが、同社のパオロ・アルドイノ最高経営責任者（ＣＥＯ）はＷＳＪの報道を直ちに否定。「ＷＳＪが伝えたように、テザーが捜査を受けているという兆候は一切ない。ＷＳＪは古いニュースを蒸し返しているだけだ」とＸ（旧ツイッター）に投稿した。
これまでのところ、テザーの価値がゼロになる兆候は見られない。報道を受けてテザーは値下がりしたが、99.69セント程度までの下げにとどまった。より変動の激しい他の仮想通貨はＷＳＪ電に強く反応し、ビットコインとイーサリアムはそれぞれ２％余り下落した。
テザーについては何年もの間、疑問や論争が巻き起こっている。当初は１ドル相当とされるテザーの価値を裏付けるのに十分な資産を発行元が本当に保有しているかどうかに注目が集まっていた。
