NPBファームでも躍動する、独立リーグで3年連続無双した「流浪の右腕」
メキシコから帰国後、平間は、平日は都内のジムでトレーニングを積みつつ自身のパフォーマンスデータを蓄積し、週末は中学時代に所属した世田谷目黒西リトルシニア(旧・世田谷リトルシニア)の練習に参加した。臨時コーチとして、強豪校入学を目指す中学生に経験を伝えつつ、自身も中学生相手に実戦登板を重ねて24年シーズンに備えた。 「現役引退後も野球に携わっていたいという思いがあり、そのひとつとして指導者という道もぼんやりと考えています。中学生のように多感な思春期の頃は精神的にバランスを崩してしまう選手もいます。そういう選手に対しても、どうすれば正しい知識を伝えることができるか。刺激しすぎてもいけないと思いますし、かつ本人が思うとおりの野球をさせてあげたい。そのためにはどうすれば良いかを考えられる、すごく良い機会になりました」 平間は、社会人、独立リーグ、そしてメキシコのプロリーグとあらゆる環境で野球に取り組んできた。そして今季初めて、ファームとはいえNPBの打者を相手に投げることになった。高知時代は3年連続で無双した平間に、独立リーグとNPBファームの違いについて聞いた。 「同じアウトでも内容はまったく違うと感じました。抑えたとしても、バッターはピッチャーにとっては嫌な形でアウトになります。簡単にアウトが取れたというバッターはほぼいません。 ヒットでも、ただ打ちましたと喜ぶのではなくて、それまでの凡退の内容を積み重ねて、結果、相手にダメージを負わせる。現在のNPBは投高打低で基本的に3点差未満の試合が多く、簡単には安打できないことは野手陣も分かっているので、じゃあ自分のやるべきことをやろう、という気持ちで打席に立っています。そういう本質的な部分を知ることができて、野球は凄く面白いなと思えるようになりました」 開幕から4ヵ月、ここまで対戦した中で印象に残った打者を尋ねると、「中村奨成選手(広島/2017年ドラフト1位)ですね」と即答した。取材5日前のホーム試合では、中村から特大の場外2ランを浴び、開幕以来続けていた「被本塁打0」の記録も23試合目で途切れた。