NPBファームでも躍動する、独立リーグで3年連続無双した「流浪の右腕」
今シーズン、日本野球機構(NPB)にファーム(2軍)リーグ限定で新規参戦した「くふうハヤテベンチャーズ静岡」(以下、くふうハヤテ)。同時に参戦した「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」は独立リーグの老舗球団だったが、くふうハヤテは母体も何もない、まさしくゼロから立ち上げられたチームだ。 【写真】監督もブチ切れたワガママ大物メジャー助っ人 開幕から約3ヵ月が過ぎた6月末、くふうハヤテに密着取材し、野球人生をかけて新球団に入団した男たちの挑戦を追った。 今回は、社会人、独立リーグ、メキシコリーグでプレーしてきた187cmの大型右腕、平間凜太郎(ひらま・りんたろう)の新たな戦いに迫る。(全15回連載の3回目) ■「1軍の主力選手を抑えたこともありますが、それよりも...」 6月24日夕方5時、筆者はJR清水駅に到着した。 福岡遠征から戻ったばかりのくふうハヤテの投手、平間凜太郎と合流し、食事をしながらインタビューすることにした。場所は、「清水と言えばやっぱりまぐろかなと思って」という平間の提案で選んだ、清水魚市場内の食堂街。駅に隣接する同施設は、年間100万人以上が来場する清水港の人気施設で、週末は多くの観光客で賑わうそうだ。 「ハヤテに入団できたことは、めちゃくちゃ良かったと思っています。当初はメキシコなど海外プロリーグのチーム入りを目指していましたが、そういった話もなくて、2月の中頃、たまたまハヤテで追加トライアウトを開催すると知って、『NPBの選手と戦えるチャンスだ』と思い応募しました。 対戦バッターは全員、NPBにドラフト指名された選手ということに一番魅力を感じて契約しました。独立リーグ時代(高知ファイティングドッグス)も、ソフトバンクの3軍戦やフェニックスリーグでNPB選手との対戦は少しありましたけど、年間を通じて戦う機会はありませんでしたので」 2020年、21年、四国アイランドリーグで2年連続最多セーブ王を獲得した平間は、22年は最多勝と最優秀防御率の二冠に輝きリーグMVPにも選ばれた。しかしNPBからドラフト指名はなく、23年シーズン終了後に高知ファイティングドッグスを退団。10月から12月にかけては、現在、元楽天の安樂智大投手が所属するメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズでプレーした。 そして今季、海外リーグからのオファーもあったものの、NPBの選手と日々戦えることに魅力を感じてくふうハヤテに入団。中継ぎ、抑えを任され、取材時点では23試合に登板し防御率1.59という好成績を収めていた。 「(好調の理由は)間違いなくオフの過ごし方が良かったからです。自分のパフォーマンスを表すデータと感覚のすり合わせができて、それを試す実践の場があった。地味な練習を毎日積み重ねる。正しい努力を継続する。今はそれが結果に結びついていると思っています」