「おばさん構文のコミュニケーション能力は抜群」尾木ママが大切にしている“気遣いと共感”
「とにかく聴き上手になること」尾木ママのコミュニケーション
――尾木さんが「文章」で若者とコミュニケーションする時に心がけていることは? 尾木ママ: 最近は、若い子たちに対してLINE的な短文を送るようにしてます。本当は長文で一気に書いちゃった方が楽だけど、短く三行ぐらいの文章に区切ってみたり。若返りのためにあえて頑張っています。 ――では「対面」で若者とコミュニケーションする時に心がけていることは? 尾木ママ: おじさんおばさんというのは、若い人に対してどうしても一言言いたくなる。もちろん彼らのことを思いやってのことなんですが、それはやめた方がいいと自分自身に言い聞かせています。とにかく「聴き上手」になるというのが決定的に重要なんですね。門構えの「聞」じゃなく、心が含まれている「聴」の方。若い子たちは、この人はちゃんと聴いてくれると感じたら、安心してどんどん接点を求めてくれます。 親子関係においても、聴く力は大事です。僕は保護者向けの講演会を開くことがあるんですが、その時は会場の皆さんと「どうしたの?」という声がけを練習することがあります。その場で発声してもらってね。もし子どもがいけないことをしてしまったら、まず「どうしたの?」と理由を聴いてあげてほしい。きっと「ああそうだったんだ」と思える事情があるはずなので、その点に共感してあげてほしい。よく聴くことで生まれる共感力というのは、コミュニケーション能力の土台ですからね。 === 尾木直樹 1947年・滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、私立海城高校、都立公立中学校、法政大学などで44年間教壇に立ち、現在は法政大学名誉教授。「尾木ママ」の愛称で親しまれ、子どもを主役とした教育法を展開し、テレビをはじめ様々なメディアに出演。全国各地の講演活動にも精力的に取り組んでいる。 制作協力:SION