「おばさん構文のコミュニケーション能力は抜群」尾木ママが大切にしている“気遣いと共感”
“尾木ちゃんとの交換ノート”から生まれた「おばさん構文喋り」
――尾木先生は「尾木ママ」という愛称で親しまれ、女性的な柔らかさのある喋り方をされていますね。 尾木ママ: でも昔から今の喋り方をしてたわけじゃないの。実は昔、大きなきっかけがあってね。僕が最初に勤めていたのは男子校でしたから、男子とのコミュニケーションは得意だったんです。だけど、転勤で共学の中学校に行くことが決まって、他の先生方から「尾木さん、共学は大変だよ」って忠告された。「女子は絶対に上から目線で怒っちゃダメだ。授業に来なくなっちゃうかもしれない」「ゆっくりと観察して、気持ちがつかめるようになってから諭してあげた方がいい」というアドバイスもいただきました。で、転勤先で女子生徒の行動をよくよく観察するようにしていたら、交換ノートをやっていることに気づいたんです。 じゃあ僕もやってみようかなって、小さいノートを用意して「書きたいことを書いてくれたら、先生としてではなく、人生の先輩として返事を書くよ」とみんなに伝えました。いわゆる“尾木ちゃんとの交換ノート”ってやつを始めてみたんです。毎晩毎晩、生徒へのお返事を書いてね。そしたらだんだんと自分の字が、女子生徒の書く丸文字に似てきちゃった。そのうち、掃除や給食の時間に女子生徒と頻繁にお喋りするようになって、口調まで女子っぽくなっていって。つまり、おばさん構文みたいな喋り方になっちゃったの。自然と中学生の心の動きもつかめるようになっていったので、それはとても良かったんですけどね。 ――今もこの喋り方を継続されている理由は? 尾木ママ: これは明石家さんまさんのせいですよ。62歳の時に初めてバラエティ番組に出て、今の話し方をしていたら、さんまさんが「ママー!」って叫んだんです。「この中にママって言われるようなコメンテーターいる?」と思っていたら、僕を指して「あんただよ!」と。僕は「違うわよ!違うわよ!」って否定したんですけれど、その後『ホンマでっか!?TV」のレギュラーに来てくれと言うので、話し方もすっかり定着しちゃったんです(笑)。