リバティ・グローバルがフォーミュラEの経営権取得へ……規模拡大に絶好の契機。F1やMotoGPを傘下に収める、リバティ・メディアの関連会社
フォーミュラEの発行済み株式の65%を、リバティ・グローバルが取得することが分かった。これでリバティ・グローバルは、フォーミュラEの支配権を握ることになる。なおリバティ・グローバルは、F1やMotoGPを傘下に収めるリバティ・メディアの関連企業であるものの、今回のフォーミュラEに関する取引は、このリバティ・メディアとの動きとは無関係だという。 【開催スケジュール】フォーミュラE、2024/2025シーズンのスケジュール発表。東京E-Prixはダブルヘッダーへ リバティ・グローバルは今から約10年前、フォーミュラEが立ち上がった当初に同シリーズに対する最初の投資を行なった。しかし今回、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーが持っていた株式を、規制当局からの承認が得られることを条件に、2024年末までに取得する予定であるという。この取引が完了すれば、リバティ・グローバルはフォーミュラEの株式65%を取得することとなり、同シリーズの支配権を掌握することとなる。残りの株式35%は少数株主が手にしている。 リバティ・グローバルは、リバティ・メディアから独立したメディア関連企業で、ケーブルテレビ網を運営するなどしている。 なおリバティ・グローバルとリバティ・メディアは別会社であるものの、いずれもジョン・マーロンが取締役会長を務めており、両社の関連性は深いと言えるが、今回のフォーミュラEの支配権獲得と、リバティ・メディアが持つF1やMotoGPの支配権とは、直接の関係はないという。 フォーミュラEのCEOであるジェフ・ドッズは、リバティ・グローバルの投資を歓迎。今後フォーミュラEが成長していく上で、極めて重要なことであると語った。 「成長の鍵となるのは、マシンのテクノロジーに関するものだ。GEN3 evoからGEN4にかけての飛躍は実に大きい。2年半後には、素晴らしいレーシングカーになっているだろう」 そうドッズCEOは語った。 「ふたつ目は、どこでレースをするのか、どこでショーをするのか、そしてどうやって新しい観客を掴むのかということだ。今週我々は、2024-2025シーズンの開催カレンダーを発表したが、これは我々にとって、過去最大のカレンダーである。モータースポーツファンの皆さんには、そこに象徴的で大胆な動きがあることをご理解いただけると思う」 「3つ目は認知度を広めるということだ。タレントやマーケティング、PR、ソーシャル、デジタルアクティベーションと連携して、我々がマネジメントするスポーツについてより多くの人たちに伝えてきた。そしてファンの数を、ほぼ4億人にまで拡大することができた」 「我々はこの急激な成長を、さらに解き放ちたいと思っている。事業を拡大し、テクノロジーに投資し、そして知名度を生み出すことに投資をしているまさにその時に、リバティ・グローバルのような信念を持った投資家が我々の後押しとして加わってくれることは、極めて重要なのだ」 またリバティ・グローバルのマイク・フライズCEOも、次のようにコメントを寄せた。 「我々は約10年前に初めて投資したフォーミュラEの経営権を取得できることを、嬉しく思っている」 「フォーミュラEはスポーツの世界でもっとも先進的な持続可能性の基準を取り入れながら、さらに成長を遂げる大きな可能性を秘めている。この投資は、ベンチャー・ポートフォリオ全体にわたる規律ある資本のローテーションのアプローチと、非常に魅力的なビジネスへの長期的な投資を行なう戦略を、継続したものだ」
Haydn Cobb, 田中健一