「中学受験の志望校、1月に変更してもいいの?」→専門家が教えるギリギリのタイミング
中学受験の入試直前期において、「志望校は変更してはいけない」「初志貫徹が大切」と言われることがある。しかし、昨今は直前期の志望校変更も柔軟に考えるべき場合も増えている。特に1月以降の入試結果や子どもの成長に応じた変更が結果的に有効となることも。幼児から高校生まで教える人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表の連載第6回は、志望校変更のタイミングや注意点、そして変更に伴う親の重要な役割について解説する。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意) 著者プロフィールを見る ● 1月の中学入試が増加中 当日申し込みができる学校も 昨今の中学受験は1月から多数の日程でさまざまな学校が入試を行っています。極端な話、当日に申込みができる学校さえあります。 子どもの実力は直前まで上がります。また、1月にあらかじめ受けた学校の入試の結果でも状況は変わってきます。直前に過去問をやっていて、どうしても志望校の問題が子どもに「合わない」、子どもがしっくりきていないということも出てくるかもしれません。 そうしたことを踏まえて、直前期の志望校の変更はいつまで可能なのか。子どものタイプ別に分けて解説していきます。また、志望校を変えることによって生じる、盲点になりがちな、親しかできない重要な準備についてもお話したいと思います。
● 志望校は直前でも 変えていい場合がある 志望校をいつまで変更できるのか。やはり最初に決めたとおりに行動したほうがいいのか。親にとっては、悩みどころです。 実際の受験現場では、志望校の変更はより柔軟に考えられています。低学年の子どもを持つ保護者や、初めて中学受験を経験する親御さんは驚かれるかもしれませんが、現在の中学入試では、クレジットカードさえあれば、多くの学校で、前日、場合によっては当日まで出願が可能なのです。 もちろん変えたら必ず結果がポジティブに出るというほど単純なものではありませんが、少なくとも現在の入試は「動きながら考える」ことができる環境にあり、状況に応じて戦略を練り直せるというのは、大きなメリットです。 ただし、この「柔軟性」は「変更してもよい」という意味であって、安易に変更してよいという意味ではありません。10人の受験生がいれば10通りの受験があるように、変更の判断も個々の状況に応じて慎重に行う必要があります。 では、どのような場合に志望校の変更を検討すべきなのでしょうか。 ひとつは、過去問演習を重ねていく中で、「問題がしっくりこない」と感じる場合です。例えば、同じ偏差値65の学校の入試問題の国語でも、記述式が中心の学校と選択式が中心の学校では、子どもが何が得意なのかによって、問題の感じ方が全く違ってきます。 もちろん、1ヶ月ほど過去問の演習を重ねていく中で、苦手を克服したり、問題に慣れていくということも必要でしょうし、実際に解きやすくなる場合もあります。ただ、どうしても問題と相性が合わないと感じた場合は、塾の先生とよく相談した上で、併願校や第二志望校の変更を検討する価値があります。 特に1月の段階であれば、まだ十分な検討の時間があります。成績が思うように伸びない、あるいは特定の学校の問題がどうしても苦手だと感じる場合は、新たな選択肢を探ることも可能です。中には1月最終週まで第一志望について悩み続ける受験生もいます。 ただし、こうした変更を検討する際は、必ず通塾先の先生に相談することをお勧めします。また、「ダブル出願」という形で、もともと志望していた学校の受験をキャンセルせず、同日の別の学校を押さえておくといったように、選択肢を残しておくことも一つの方法です。これは追加の費用がかかりますが、万が一の際の保険として有効です。