「中学受験の志望校、1月に変更してもいいの?」→専門家が教えるギリギリのタイミング
● 銀行振り込み、ネット環境確認など 事務作業は親の役目 入学金の納付期限についても、事前の確認が欠かせません。合格通知書をもらうだけでは入学は確約されません。必ず定められた期限内に入学金を納めなければなりません。特に、「ワンオペ」で受験に付き添う親の場合、子どもの送迎と銀行での手続きが重なって、締め切りに間に合わないといったトラブルも起こり得ます。 ネットバンキングが利用できる場合でも、振込み限度額があったり、他行への振込みは翌日扱いになったり、時間帯によって、即時振込ができないことがあったりするということも覚えておきましょう。直接お金を下ろす場合は、どの銀行の支店がどこにあるのか、営業時間は何時までかといった情報も、事前にチェックしておきます。こうした事務作業は子どもはできませんから、親が全責任を持って準備すべき事柄です。 銀行の振込みだけにとどまらず、出願にはインターネット環境が必須です。自宅のWi-Fi環境を今一度チェックしておくことをお勧めします。インターネットが使えないと出願そのものができなくなってしまうため、もしものときのために、携帯回線でも手続きができるよう確認しておくことが重要です。また、近くのコワーキングスペースの場所と営業時間を調べておくことも、バックアップとして有効です。 さらには、万一ネットが使えなくなった状況に備えて、志望校の日程や必要事項は、パソコンやスマートフォンでの保存だけでなく、紙に出力するか、手書きのメモとして保管することもお勧めします。パソコンがフリーズしたり、スマートフォンが故障したりする可能性も考えて、情報は二重三重にバックアップしておきましょう。 ● 交通機関、経路確認も 早い段階で確認しておく かつては、試験会場までの経路を事前に下見するのが一般的でした。今はほとんどの親がスマートフォンで経路検索をして済ませていると思います。ただし、交通機関の遅延など、予期せぬトラブルに遭遇する可能性も考えておく必要があります。 自宅から志望校までの道のりを実際に経路を辿って確認しておくことが望ましいでしょう。電車の遅れなど、些細なことでも、子どもは動揺しやすいものです。時間に余裕をもった行動計画を立てることが重要です。特に、志望校を変更した場合は、新しい試験会場への経路、午前の受験校から午後の受験校への移動経路も確認が必要です。 このように志望校の変更は「学校を変えるだけ」ではありません。付随する様々な実務作業も、それに従って変更しなければならないのです。この点は見落とされがちですが、むしろこちらの準備の方が大変かもしれません。いざ変更を決めたら、関連する親の「オペレーション」の変更も抜かりないか、何度もチェックして下さい。 志望校の変更は、子どもの可能性を広げる重要な選択肢の一つ。ただし、それは単なる受験校の入れ替えではなく、準備すべき事項が多岐にわたる重要な決定です。今のうちに、できる準備は全て整えておくことをお勧めします。実務面での準備は、保護者の方が200%責任を持って対応しなければならない部分です。万全の態勢で本番を迎えられるよう、今から計画的に準備を進めていきましょう。
富永雄輔