“スピンロフト”がなぜ大切なのか 日本初の「アプローチ専門コーチ」永井直樹が解説 (後編)
日本ではおそらく初となるショートゲーム専門コーチが国内男女ツアーで活躍している。その名は永井直樹。まだ26歳という年齢で専門コーチを職業に選んだ理由を探りつつ、そのレッスン活動を紹介していく。後編はスピンロフトについて詳しく解説。(取材・構成/服部謙二郎) 【画像】ピンは「G440」か 「SFT」「MAX」「LST」の3機種が“リストオン” ピンは「G440」か 「SFT」「MAX」「LST」3機種が“リストオン”
――アプローチが上手くなるには、ローポイントのコントロールと、もうひとつ「スピンロフト」の確保ということでしたが スピンロフトは、簡単に言うとダイナミックロフト(インパクト時のロフト)と入射角の合算値のことです。たとえば、ロフト60度のウェッジをシャフトを15度くらい傾けて(ハンドファーストにして)打つと、ダイナミックロフトは「45度」になります。さらにそのとき、10度ダウンブローで打ったとすると、45度+10度でスピンロフトは「55度」です。スピンロフトは60~65度のときにいちばんスピンが多くなるというデータがあるので、「55度」は最大値ではないですが、アプローチとしては優秀な数値といえます。 ビクトル・ホブラン(ノルウェー)のコーチ、ジョセフ・マヨは、打ち出し角を30度以下と低く抑えつつ、できるだけ入射角を強くしてスピンロフトを確保する打ち方がいちばん「寄せやすい」と言っています。実際、ホブランはその打ち方に変えたことでアプローチがものすごく向上しました。ホブランみたいな打ち方は、今は「ツアーチップ」と呼ばれています。
では、打ち出し角を低く抑えるにはどうすればいいか。ウェッジの場合、打ち出し角は約65%がダイナミックロフトで、残りの約35%が入射角で決まると言われています。60度のウェッジでシャフトを15度傾け、さらに10度ダウンブローで打った場合は、29.25度(ダイナミックロフト45度の65%)から3.5度(入射角10度の35%。ダウンブローなのでマイナス)を引いて、だいたい25度か26度くらいの打ち出し角が取れるという計算ですね。ちなみにホブランをはじめ、ジョーダン・スピースなど、アプローチが上手いと言われる選手はほとんどこのくらいの数値(シャフトの傾きと入射角)で打っています。