“スピンロフト”がなぜ大切なのか 日本初の「アプローチ専門コーチ」永井直樹が解説 (後編)
――ローポイントを左にもっていくためのコツなどはありますか? 確かにいきなりローポイントを左にズラすのは難しいかもしれません。アドレスで左足つま先と胸を開くと話しましたが、同時に右足を少し引いてクローズスタンスの形をとってみてください。その際、右ひざを伸ばして、意図的に「左足下がり」の状態を作ります。このセットアップの何が良いかというと、クローズかつ左足下がり状態なので、自然と左重心を作りやすい。また右肩を高く保てるので、後ろから見たときに、手元が中&ヘッドが外に動きやすく、プレーンが高い状態(アップライト)を保ちやすいんです。そうなると手前に当たることも減りながら、スピンロフトも確保できます。
プレーンが低いまま(フラット)のアプローチもありますが、それでスピンロフトを確保するには手を前に出してヒールを浮かさなければいけない。ツアーに1年間帯同して思ったことは、アプローチの上手い選手は、手元が体のそばでヘッドが高い位置にあるという状態を自然にやっているということ。それで自然にローポイントとスピンロフトのコントロールを行っているわけです。 ちなみに、ツアーチップのように強いダウンブローで打つ場合は、バウンスはほぼ地面に当たりませんので、ローバウンスでまったく問題ありません。シャローなアプローチをする場合は、アマチュアの方でしたら10~12度くらいバウンスがあるほうがやさしいと思います。
――では、最後に永井コーチの今後の目標、そしてコーチとしての夢を教えてもらえますか? 目澤さん(目澤秀憲コーチ)がマスターズチャンピオンのコーチとして活躍したことに憧れを抱いたというお話はしたと思います。まだ駆け出しの身ではありますが、私もいつかは自分が教える選手が海外のメジャートーナメントで優勝するのをサポートしたいと思っています。それによって他の若い選手たち、コーチを目指したい人が増えてくれれば本望。いつか自分が目澤さんを見て思ったように「コーチってかっこいいな」という存在になりたいです。まずは近い目標として、男子、女子の海外メジャートーナメントに帯同してみたいです。 協力:キングフィールズGC