キャディーバッグが倒れてボールを動かしたら罰打は? 次のショットはどこから打つのが正解!?
ボールを動かした原因によって罰打も処置も変わる
今季はパリオリンピックの金メダル獲得や米女子プロゴルフ協会(LPGA)の“名誉の殿堂”入りなど、活躍が目覚ましかったリディア・コ。シーズン最終戦の「CMEグループ ツアー選手権」の2日目、9番パー4のフェアウェイ上でのこと。彼女のキャディーがボールの脇に立てて置いていたバッグが強風に倒され、その“下敷き”になったボールが動くというアクシデントがありました。 【動画】思った以上に衝撃映像…これがリディア・コのバッグがボールを直撃する実際の場面です この場合のペナルティーは? そして、動いたボールの処理は? 乗用カートのセルフプレーでは基本的に遭遇しない状況ではありますが、手引きカートでのプレーをする人やサブバッグを愛用している人は覚えておくと安心でしょう。
このケース、旧ルールではプレーヤーの「携帯品」がボールを動かす原因になったとして、プレーヤーは1罰打で、ボールはリプレースしなければなりませんでした。 ところが、現ルールには「携帯品」という規定はありません。このようにプレーヤーのボールに影響を及ぼす可能性のある人や動物、そして物は、ルール上の「外的影響」に該当。そして、それがボールの動いた原因となった場合は、「外的影響がプレーヤーの止まっている球を拾い上げたり、動かした場合は、罰はなく、その球を元の箇所にリプレースしなければならない」と規定する規則9.6にしたがって、無罰でリプレースとなります。 一方、ボールを動かした原因が風、つまり「自然の力」と判断された場合は、プレーヤーは同じく無罰ですが、ボールは動いて止まったところから、あるがままでプレーしなければなりません(規則9.3)。 処置に迷ったリディア・コはルーリングを要請。到着したルールオフィシャルが下した判断は規則9.6で、リディア・コの無罰でのリプレースを指示しました。 この処置は、R&Aの「規則のオフィシャルガイド」に次のように記載されています。 規則9.6/1「風によって動かされた外的影響が球を動かす原因となる」という場合は、「風それ自体は外的影響ではないが、外的影響がプレーヤーの球を動かす原因となった理由が風である場合、規則9.6が適用される」。ちょっと分かりにくい訳文ですが、風が理由で外的影響がボールを動かした場合は無罰ということ。 ちなみに、バッグが動いた理由が風ではなくキャディーだった場合、例えばキャディーが誤ってバッグを倒したというときは、「プレーヤーが止まっている自分の球を拾い上げたり、故意に触れたり、動かす原因となった場合、そのプレーヤーは1罰打を受ける」と規定する規則9.4b違反となります(ボールはリプレース)。
小関洋一