ルノーのF1エンジン製造終了の噂について、アルピーヌ代表は財務規則が一因と指摘。開発と購入のコストに大きな差
アルピーヌを去るチーム代表のブルーノ・ファミンは、ルノーがF1のパワーユニット(PU)の製造から撤退する寸前だとうわさされている理由は、F1の財務ルールにあると述べている。 【写真】アルピーヌF1の新しいチーム代表に就任したオリバー・オークス F1ベルギーGPの週末、ファミンが8月末にチームを去ることが発表された。サマーブレイク明けのオランダGPからはオリバー・オークスがチーム代表の役割を引き継ぎ、ファミンはルノーの組織内の他の役割に就くことになる。 近年のアルピーヌは、ルノー製パワーユニットのパフォーマンスが低迷しているため、ライバルに対抗するのに苦戦してきた。また、アルピーヌが将来的にメルセデスのパワーユニットを使用する契約の締結が近づいていることもわかり、ルノーがF1エンジンマニュファクチャラーではなくなることが明らかになった。 現在のポジションを退く準備をしていたファミンは、パワーユニットプログラムを続けることがルノーにとってもはや意味をなさなくなった理由をメディアに説明した。 「ビジネスモデルをそのように呼ぶのが少し奇妙だというのは事実だ」と、ファミンは先週公式F1チャンネルに語った。 「分配金のシステムであるコンコルド協定は、チームだけに利益をもたらしている」 「一方、FIAの財務およびスポーティングレギュレーションにより、PUマニュファクチャラーは、パワーユニットを希望するチームに上限価格で販売することが義務づけられている」 2026年からは新しいレギュレーションが施行され、1億3000万ドル(約188億円)の予算制限が導入される。これは、アウディのような新たにF1に参入するマニュファクチャラーにとって、スポーツをより魅力的なものにするために策定されたものだ。しかしファミンは、メルセデスやフェラーリのようなマニュファクチャラーチームではなく、マクラーレンやアストンマーティンのようなカスタマーチームになる方が、財政的には理にかなっていると述べている。 「PUの開発コストとPUの購入コストを比較すると、大きな違いがある。その大きな違いは、分配金基金によって補われるわけではない。なぜなら、すべての分配金はチームに払われるからだ」 「我々はパフォーマンスではなく、金額の大きな違いについて話をしている。この違いは秘密ではない。なぜなら、我々はこのことを知っているし、これは公式のもので公開されている。コスト制限、PUマニュファクチャラーに許可されている金額、PU供給価格、およびPUマニュファクチャラーがPUを販売しなければならない価格も公開されている。一方は1億2000万ユーロ(約191億円)、もう一方は17ユーロ(約2700円)のようなものだ。計算するといい。もちろん毎年のことだ」 ファミンは、V6ハイブリッド・ターボのレギュレーションが導入されて以来、現在のルノーのパワーユニットはパワーが減少しており、2021年末にエンジン開発が凍結されたことから不足を補う方法がないことを認めた。 「ルノーは完全に機会を逃した。今では10から15キロワット減少している。パワーユニットは平均してラップタイムの10分の2だ。コースにもよるので、もちろん平均でということだ」 ファミンによると、彼らはそのためにマシンとシャシーのデザインから1秒を引き出すために奮闘することになったが、これも問題があることが証明されたと述べた。 「パワーユニットの後ろに隠れることはできない」 「エンジンのように凍結期間にあり、ハードウェアを改善できないことがわかっているなど、てこ入れができない部分がいくつかある」 「しかし、マシンには別の問題がある。トラクションの不足、ダウンフォースの不足、大きすぎるドラッグ、パワー不足。すべてを改善しなければならなかった」 「また、重量を少し減らす必要もあった。シーズンの初めは重量が少々超過していた。その後、マシンをふたたび理解し、いくつか小さなアップグレードを行ったり、セットアップを適応させてマシンがよりよく機能するようにしなければならなかった」 最近のチーム上層部の交代や、エンジンプログラムの終了に関するうわさにもかかわらず、ルノー・グループのCEOであるルカ・デメオは、アルピーヌは売り物ではないと主張している。しかしその一方で、アンドレッティ・グローバルと中国の自動車大手『吉利』は、現在のF1グリッドにおける機会に注目していると言われている。 [オートスポーツweb 2024年08月07日]