日銀がYCCを再修正 物価見通しの大幅上方修正は利上げにつながるか?
賃金高騰はなく欧米と質が違うインフレ
こうした度重なる物価見通しの上方修正は「インフレは一時的」と判断していた2021年頃の米FRB(連邦準備制度理事会)を彷彿とさせます。最近では日銀の政策が後手に回っている可能性、いわゆるビハインド・ザ・カーブに陥っているとの懸念も一部にあります。 ただし、日本経済は良くも悪くも欧米のような賃金インフレが発生しておらず、その点においてインフレの質が決定的に異なります。日本企業の賃金・価格設定行動がデフレ期と明確に異なってきたのは事実ですが、例えば毎月勤労統計の所定内給与(基本給に相当する尺度)が3%を上抜ける中で、個人消費が堅調に推移し、その結果として消費者物価が2%以上で高止まりするデマンドプル型のインフレが定着する姿はなお想像にしいくい状況にあります。 賃金・物価が明確なプラス圏に浮上し、為替の円安が進行する中、マイナス金利という極端な金融緩和政策はいつ解除されても不思議ではない状況になっていますが、インフレを抑制するための連続的な利上げは現時点で想定されません。
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