国民健康保険料が高すぎる!その理由と対策を徹底討論!対談 内藤眞弓×笹井恵里子
内藤 従業員51人以上の企業で、週20時間以上働く月額賃金8万8000円(年収約106万円)以上の人は厚生年金の加入対象になり、勤め先の社会保険に加入できます。130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、社会保険料の支払いが義務づけられます。 ―減免制度についても教えてください。 笹井 国保法第44条に、医療費の窓口一部負担金の減額・免除制度があります。自治体により適用対象は異なります。災害や不作、廃業、失業などで生活困難に陥るなど厳しい要件を定めるところが多いですね。コロナ禍であっても第44条はほとんど適用されなかったようです。 ―前述のように、国保料は負担が重いため、滞納世帯は189万世帯(23年度)にのぼります。払えなくなったらどうすればいいのでしょうか。 内藤 とにかく行政窓口に行って相談すること。滞納をそのままにしておくと、最終的には財産を差し押さえられます。 笹井 本の中にも書きましたが、群馬県前橋市で働く40代のシングルマザーは生活が苦しくて国保料を納めていない時期があり、延滞金を含めて50万円程度の滞納がありました。昼も夜も働き詰めで、約12万円の給料が振り込まれた時に市から銀行預金を差し押さえられ、強制的に10万円を徴収されたのです。それだけではなく、入っていた生命保険を強制解約させられて解約返戻金を市に徴収されたのです。この女性は6年前にがんのため亡くなったそうです。 ―ひどい話です。違法ではないのですか。 笹井 違法ではありません。市税を滞納している市民が生命保険に加入していて解約返戻金がある場合には、契約者の意思によらず生命保険契約を一方的に解約することができるのです。ただ、解約返戻金があるという理由だけで強制解約に及ぶなんて乱暴すぎる、と支援していた男性は怒りに震えていました。 ―笹井さん自身の元にも差し押さえの通知がきたことがありますね。 笹井 はい、21年11月、携帯電話のショートメールに「このまま国民健康保険料の未納が続くと、あなたの財産を差し押さえます」というメールが届きました。その数日前には郵便で「今すぐ納付してください」と書かれた督促状を受け取っていました。29万円の国保料を滞納していたのです。