国民健康保険料が高すぎる!その理由と対策を徹底討論!対談 内藤眞弓×笹井恵里子
―任意継続、国保に加入のほか、配偶者や子が会社員として社会保険に加入していれば「被扶養者」になる、という選択肢もありますよね。 内藤 ただし、被扶養者になるためには年収130万円未満(60~74歳は180万円未満)という要件があります。ギリギリ社会保険の加入対象となるような働き方を軸にしつつ、やりたい仕事で起業して個人事業主として働く、という方法もありです。短時間勤務で社会保険に加入して保険料を安くしつつ、起業してもすぐに軌道にのるとは限らないのでリスク回避にもつながります。 ―かつては自営業者と農林水産業者が加入者の約7割を占めていた国保ですが、現在は高齢者や失業者、非正規雇用者が増え「所得なし」の人が約3割を占める状況です。加入者1人あたりの平均所得は約96万円で、所得の2割を健康保険料として徴収されるケースもあるなど、とても家計がもちません。 笹井 国保は弱者連合と言われています。取材していても「平均所得が低いグループの中で多額の保険料を取るという仕組み自体が制度として破綻している」とよく聞きました。 内藤 加入者の年齢層が高く、医療費が高くなりやすいのも国保の特徴です。75歳以上は後期高齢者医療制度に加入しますが、65~74歳で国保に加入する人が多く、この層は病気になりやすい。特にがんは60、70代が中心ですから医療費がかかります。 ―国保の保険料の算出の仕方も高騰の原因だと聞きます。 内藤 会社員などが加入する健康保険は、収入に保険料率をかけて計算するだけで、家族の人数が保険料に影響することはありません。一方、国保料は家族の人数に応じてかける「均等割」や各世帯に定額でかかる「平等割(世帯割)」(注2)があります。仮に「均等割」が5万円の場合、家族が1人増えるごとに5万円、10万円、15万円と国保料の負担額が上がっていきます(年額)。 ―子どもの数が多いほど国保料が上がるなんて、子育て支援に逆行していますね。