80年代のアイコン「ランチア デルタHF 4WD」は日常使いできる全輪駆動スポーツカーだ!
「デルタ」がもともと前輪駆動車として設計されたことを忘れがちだ。その全輪駆動パッケージはシュタイアープフが供給した。ビスカスロック付きトランスファーケースがセンターに配置され、フロントとリヤのスリップを補正し、セルフロック式トルセンデフがリヤアクスルのホイールに自動的に動力を配分する。従来の56:44の前車軸有利のパワー配分は、スポーツモードでのクリーンなドリフトの妨げになることが判明したため、デルタの後期モデルではこの比率が逆転された。 特にターボチャージャー付き4気筒エンジンを搭載した「HF」は、2つの駆動輪ではなく4つの駆動輪に大きなパワーを配分できることがいかに実用的かを明らかにしている。トラクションも十分で、オーバーステアもアンダーステアもほとんどない。全輪駆動はドライビングをより安全にする。
「ランチア テーマ ターボ」から流用された4気筒エンジンは、2リッターの排気量から165馬力@5250rpmを発生する。2本のオーバーヘッドカムシャフトと2本のバランサーシャフトを備えた、エンジン工学の粋を集めたエンジンである。フロントは予想以上に静かで、リヤは左右2本のテールパイプから喉越しの良い唸りを上げる。2バルブエンジンは、2000rpmという低回転からクリーンかつ果断に立ち上がり、弾力性を発揮する。ブースト圧を0.9バールまで短時間上げると、再び短時間で歯切れのよいターボブーストを発生する。
コンパクトでダイナミック
エンジンの生き生きとした性質は、正確なステアリングとドライサスペンションのセットアップと完璧に対応している。「HF 4WD」は、方向転換に軽快に反応し、時には舗装路の継ぎ目や路面の穴で少し跳ねることもあるが、ロールが目立つこともなく、過度な固さを見せることもない。全長わずか3.99メートルのランチアの四隅がはっきりと見えるため、「デルタ」はドライバーをやさしく受け入れてくれる。ドライビングダイナミクスの面では、「HF 4WD」はこの分野では他の追随を許さない、唯一の本格的スポーツカーでもある。 テールゲートと個別に折りたためる後席は実用的な装備だ。リヤは明らかに窮屈だが、4人以上の乗員が快適に過ごせるのは「VW T3シンクロ」だけだ。