10.27の総選挙後、日経平均が上昇するとは限らない、上値余地は限られており、下落リスクも消えていない
実際、日銀も9月19~20日の金融政策決定会合では「市場は引き続き不安定であることなどを理由に金融政策の据え置きを決めた。同様の理由で10月30~31日会合での据え置きの可能性も高そうだ。 しかし、その次の会合である12月18~19日か、次の会合(2025年1月23~24日)の日銀政策決定会合で追加利上げの決定がなされる可能性が高いとみる市場関係者は少なくない。もしドル円相場が150円を超える水準が続くようだと利上げを前倒ししてくることも十分考えられる。
一方、アメリカでは9月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の大幅利下げを決定したが、メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)や、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の「利下げを急がない」との発言などから、足元ではドル安は回避されている。 経済指標が好調なことから、今後一度に0.50%の追加利下げをする可能性はなくなった。それでも市場参加者は、11月6~7日、12月17~18日と2回連続で0.25%の利下げをすることが濃厚とみている。
このため、日米金利差縮小は確実に進むはずだ。ここ約1カ月間、想定以上に為替は乱高下しながら円安となっているが、今後は再び円高方向へと進み、日本株に逆風となりそうだ。 こうした中、日本株の先行きを考えるうえでは、やはり日米企業業績の見通しを見極めたい。日本では10月下旬以降に本格化する企業の第2四半期(7~9月期)実績での悪影響は軽微とみる。だが、第3四半期(10~12月期)の会社予想やアナリスト予想は為替の前提が円高になると輸出関連企業の業績下方修正リスクの可能性が高まる。やはり内需・輸入関連企業は相対的に優位になるとの見方は継続する。
また日本株を左右するナスダック総合指数や、AIや半導体関連株など影響力が大きい構成銘柄の決算発表にも注目が集まる。米国株はすでにPER(株価収益率)などでみたバリュエーション(企業価値評価)が高い。市場の高い収益予想を上回る実績・来期予想を出せるかどうかに注目している。 さらに、11月5日のアメリカの大統領選挙結果にも影響を受けそうだ。同国の激戦州では接戦が続くなど、民主党のカマラ・ハリス、共和党のドナルド・トランプのどちらの候補が当選するか、まだ決め打ちはできない。引き続き、投資家としては、どちらが勝ってもいいような投資戦略を立て、柔軟に対応したい。なぜなら、物色対象(業種や個別銘柄)が大きく変わる可能性があるからだ。