福岡国際マラソンで箱根駅伝出身の“新星”服部勇馬Vの衝撃。日本マラソン4強時代へ。
服部の強さの秘密とは?
服部は、「アップ中は暑いなという印象があって、10キロ手前あたりまでは暑さを感じました。ただ、後半は曇りましたし、汗もかかなくなって、折り返してからは追い風だったので走りやすかったですね。好タイムがでるんじゃないかという期待感を持って走っていました」と振り返る。 発汗量の多いタイプだが、水分と糖質を補う2本の給水ボトルで確実に水分補給した。 「科学委員会によると、昨年の大迫君(2時間7分19秒)が今年の東京マラソンと同じ気象条件で走った場合、2時間5分40秒ぐらいという計算だった。今日の方が暑かったので、もっとタイムは良くなるはず。私は2時間5分台の力はあると感じています」と瀬古リーダー。気象条件を考慮すると、服部の2時間7分27秒というタイムはすこぶる価値が高い。 後続とのタイム差も「強さ」を物語っている。前々回のチャンピオンで2時間4分台のタイムを持つ2位のイエマネ・ツェガエ(エチオピア)に1分27秒差、前日本記録保持者で日本人2位(4位)の設楽悠太(Honda)に3分近い大差をつけた。 注目を集めていた川内優輝(埼玉県庁)は2時間12分03秒の10位、神野大地(セルソース)は2時間19分28秒の29位と服部のライバルにはならなかった。 レース内容も圧巻だった。服部は30キロを1時間30分55秒で通過すると、外国勢2人と抜け出す形に。 「勝負は38キロの右を曲がっていくところ」と話していたが、ポイントにしていた千鳥橋の交差点を前に、ライバルたちを引き離すことになる。36キロ付近の給水で差がついたのだ。 「スパートしたイメージはなくて、気づいたら後ろが離れていたんです。少しリズムを変えて、勝負してみようかなと思って走りました」と服部。 36キロ以降の1キロごとのラップは3分を切って、徐々にペースが上がる。35~40キロの5キロを14分40秒で駆け抜けると、最後の2.195キロは6分35秒と日本記録を樹立した設楽と大迫のラストを上回った。 そして「速さ」を感じさせない“走り”に服部の進化が表れている。 瀬古リーダーも、「キロ2分53秒に上がっても、そのフォームに見えなかった。リラックスした走りで動きがスムーズでしたね」と話す。 服部はジョグとスピード練習の動きを一緒にするという意識でトレーニングを積んできたという。スピードを磨くのではなく、同じ動きをいかに持続させるのか。常に同じ動きをすることで、無理に追い込むことがなくなり、以前よりも疲労感がなくなったという。その結果、練習量もUPした。