「卵子凍結」という選択肢 悩む私は20代後半…専門家に聞いたリスクと現実を前に
基本的に、月経の約1か月周期で排卵される卵子は1つ。卵子1個あたりの出産率は「4.5%~12%」とされている。 卵子凍結で妊娠を目指すためには「10~15個程度」の卵子が必要とされている。薬を使って、通常の十倍以上にも及ぶことのある排卵を誘発し、採卵するのだ。 ■「排卵誘発剤」の副作用 誘発剤の使用により、通常より卵子でいっぱいになった「卵巣」が腫れる副作用や、血栓症のリスクが上がることもあるという。重症な場合は入院による点滴治療が必要となることも。 薬を使って自然とは違う状態を誘発するー。しかも、副作用のリスクもあるー。この時点で、私が想像していたこととはかけ離れた大変な処置であることが分かり、ショックだった。 ■いざ採卵、そして保管へ そして「採卵」。麻酔をかけて約30分かけて行われる。この時「いくつの卵子が採れるか」は、実際にとってみないと分からないという。 採った卵子は液体窒素の中で保管され、妊娠を臨んだタイミングで融解し使用される。仮に凍結した卵子が10個あった場合、このうち受精卵になって出産に至るものは1つあるかないか。凍結・融解は卵子にストレスをかけるため、ダメージを与えるのだそうだ。 ■若い方がいいとも限らない 若いうちに卵子を凍結していたからと言って「必ずしも出産に至るわけではない」と梶村副医局長は力を込めた。 長崎大学病院産婦人科 梶村慈副医局長: 「(若い時の方が)卵の質としてはいいので、40代でももしかしたらうまくいくかもですけど、妊娠した後のリスクが高すぎる。血圧は高くなりやすいですし妊娠・出産した後まで自分の体力を含めて考えないと」 「年齢が高くなったときに、凍結していた卵子が使えて、妊娠・出産がうまくいけば、それは良いことなので、メリットがないわけでは全然ないです。ただ、歳を重ねると着床率が下がってくる。妊娠継続したりする中で、血圧が高くなったりとか、妊娠して分娩のときのリスクも高くなってきますので、そんな危険にさらすことがないように、早め早めに人生設計を考えるのが良いのではないかと思います」