将来の総理候補が落選した理由~裏金問題だけではない 自民・武田良太氏(56) 3つの敗因
将来の幹事長・総理候補という声も一部から上がっていた自民党の大物・武田良太元総務大臣が落選した。 【写真で見る】武田良太氏の 3つの敗因 旧二階派で事務総長を務め、菅元総理とも近く、存在感を増していた武田氏。裏金問題で処分を受け比例との重複は認められなかったものの、当初は投票箱が閉まるのと同時に「当選確実」が出てもおかしくないと見られていた。ここ数回の選挙はいずれも圧勝で、地盤は盤石だとみなされていたからだ。 新人が武田氏を破るという大物食い=ジャイアントキリングはなぜ起きたのか?「負けに不思議の負けなし」という言葉の通り、取材を進めていく中で裏金問題だけではない3つの敗因が見えてきた。
【敗因(1)】裏金問題の説明は十分だったのか
派閥から受けた寄付金1926万円を政治資金収支報告書に記載していなかった問題で1年間の党の役職停止処分を受けた、いわゆる「裏金議員」の一人である武田良太氏。衆議院の政治倫理審査会に出席したことで「説明した」と語っていた。
武田良太氏 10月5日
「何をもって裏金というのか。本当に裏金をもらった人には厳しい判断が下るんじゃないかと思うけど、我々は決して裏金はもらっていませんしそこのところは政治倫理審査会で説明させていただいています」 裏金問題が発覚して以降、武田氏は地元で会見を開くなどして説明することはなかった。武田氏が地元で裏金問題に言及したのは、選挙戦序盤の街頭演説での謝罪だった。
武田良太氏 10月20日
「今回自民党から発した事案により、国民の政治不信を招くに至りましたことを本当に心から申し訳なく思っております」 ただ、何についての謝罪なのか、その中身の主語は「自民党」。 「他人事のように聞こえる」「武田氏が自身の問題として謝罪しているのか分からない」こう話す有権者もいた。 その謝罪も、選挙戦終盤になると消えた。対抗馬である日本維新の会と社民党の新人が、いずれも「裏金問題」に言及する中、武田氏の説明は十分だったのか、疑問が残った。 一方、同じ旧二階派で不記載が明らかになった福岡4区選出の宮内秀樹氏は、同じ裏金問題の当事者でありながら当選した。 もちろん選挙区の構図は異なるが、宮内氏は不記載が発覚してから比較的早い時期に地元で会見を開き謝罪している。記者からさまざまな質問が飛んだが、少なくとも答えようとする姿勢は見せて、選挙戦でも序盤から終盤まで裏金問題への釈明は続けていた。宮内氏が当選し、武田氏が落選する結果になったことは、象徴的だ。