foxco「The Longest Night」(スパイラルガーデン)開幕レポート。「おばけいぬ」たちが集うやさしい空間
ロンドンを拠点に活動するアーティスト・foxco(フォクスコ)の最大規模の展覧会「The Longest Night (ザ ロンゲスト ナイト)」が、東京・青山のスパイラルガーデンで開幕した。会期は1月19日まで。 foxcoはイラストレーター/アーティスト。高校時代をカナダで過ごし、慶應義塾大学でプロダクトデザインを学ぶ。大学在学中、パリ第一大学(ソルボンヌ大学)造型美術学部に留学。留学中にイラストを描き始め、大学卒業後、外資系IT企業に勤めながらイラストレーターの仕事を開始。2017年6月に独立し、2024年6月にロンドン芸術大学大学院を修了した。現在はロンドンに拠点を移し、個展やポップアップの開催とともに、ファッション・ライフスタイルブランドとのコラボレーションを行ってきた。 本店はfoxcoの自身初となる大規模個展だ。まず、会場壁面にはfoxcoがロンドンで制作した絵画群が並ぶ。いずれの絵画もfoxcoのロンドン滞在中に描かれたものだ。foxcoは日照時間の短いロンドンの夜をインスピレーション源として、夜だからこそ見つけられる光を「祈り」としてとらえた。作品には思い思いに過ごす動物たちの姿を描くことで、暖かい季節を待つことの尊さが表現されている。 絵画とともに展示されているのが、 foxcoがロンドンで学んでいたアニメーション作品だ。「幼い頃から、アニメーションの生き生きとした動きに救われてきた」と語るfoxcoは、昼と夜の動物たちの過ごす時間を静かなアニメーションで表現している。 本展の白眉といえるのが、スパイラルを象徴する円形の吹き抜けで展開されているインスタレーションだろう。「空間そのものをつくりたい」という、foxcoの長年の夢を体現したこの空間には、シグネチャー・キャラクターである「おばけいぬ」の立体作品が無数に置かれている。 foxcoは「今回の展覧会は天に登っていくようなスパイラルの建築からもインスピレーションを受けた」と語っており、「おばけいぬ」たちは吹き抜けの天井から吊り下がったシェードを見つめながら、思い思いの時を過ごしている。 冬の表参道で、慌ただしい都会の喧騒を離れ、やさしい気持ちになってゆったりとした時間を過ごせそうな展覧会だ。