マイクロソフトが世界中で2兆円超のAI投資、その狙いはどこにあるのか?
中南米や欧州でも数十億ドル規模の投資
マイクロソフトによるAI関連投資は、アジアにとどまらない。2024年後半に入ると、同社は中南米や欧州への投資意向も相次いで表明。AI時代における世界規模での基盤整備を加速させる姿勢を鮮明にしている。 2024年9月24日、マイクロソフトは向こう3年間でメキシコに13億ドルを投資する計画を発表した。この投資は、AIインフラの強化とデジタルおよびAIスキル育成を目的としたイニシアチブに充てられる。具体的には、「Artificial Intelligence National Skills」プログラムを通じて500万人へのAIスキル教育の提供、中小企業のAI導入支援などが含まれる。 さらに2日後の9月26日には、ブラジルへの147億レアル(約28億ドル)規模の投資計画が明らかにされた。この投資も、同社35年間のブラジルでの事業展開において過去最大規模となる。サンパウロ州の複数のデータセンターキャンパスにおけるクラウドおよびAIインフラの拡充に加え、「ConectAI」と呼ばれるプログラムを通じて、500万人へのAIスキル教育などが実施される予定だ。 欧州でも、6月3日にスウェーデンへの32億ドル規模の投資計画を発表している。この投資は2年間で実施される予定で、同国のクラウドおよびAIインフラの拡充が進められるという。サンドビケン、ゲーブレ、スタッファンストルプの各データセンターに、最新のGPU(Graphics Processing Unit)2万台が導入される。またスウェーデン国内で、3年間に渡り25万人にAIスキル教育を提供する計画も明らかにしている。 これら一連の投資発表からは、マイクロソフトがグローバル規模でAIインフラの整備を急ぐ姿勢が浮き彫りとなる。各地域での大規模投資を通じて、AIの基盤技術とそれを扱う人材の育成を同時に進める戦略だ。こうした取り組みが、AI時代における同社の競争力強化にどうつながっていくのか、今後の動向が注目される。