マイクロソフトが世界中で2兆円超のAI投資、その狙いはどこにあるのか?
マイクロソフトが2024年、世界各国で実施した、あるいは今後実施予定の投資が記録的な水準に達している。日本、インドネシア、タイ、マレーシア、メキシコ、ブラジル、スウェーデンなどで総額150億ドル(約2.3兆円)超の投資を発表。データセンターの拡充、AI人材の育成など、AI関連の投資を加速する計画だ。また、世界最大級の資産運用会社、ブラックロックとの提携による1,000億ドル規模の資金調達やAI需要を見越した電力購入など幅広い動きを見せている。AI時代の主導権獲得へ、マイクロソフトの野心的な取り組みを追跡する。 【詳細な図や写真】マイクロソフトの野心的な取り組みの狙いは?(Photo:Ascannio / Shutterstock.com)
マイクロソフトの投資、アジアに焦点:日本、マレーシア、インドネシア、タイ、インド
マイクロソフトが2024年前半から、アジアへのAI関連投資を加速させている。焦点は、東南アジア、日本、インドだ。 まず4月10日、マイクロソフトは日本への29億ドル規模の投資を発表。この投資は、同社の46年にわたる日本での事業展開において過去最大規模となる。今後2年間で日本国内のハイパースケールクラウドコンピューティングおよびAIインフラを拡充する計画だ。 さらに、今後3年間で300万人以上のAIスキル育成プログラムの展開、日本初となるマイクロソフトリサーチアジア研究所の開設、日本政府とのサイバーセキュリティ分野での協力関係強化なども盛り込まれている。 続いて4月30日には、インドネシアへの17億ドル規模の投資計画が明らかにされた。この投資は今後4年間に渡り実施されるもので、新たなクラウドおよびAIインフラの構築、84万人を対象としたAIスキル教育の提供、同国の開発者コミュニティ支援などが含まれる。こちらも、インドネシアにおける29年間の事業の中で、過去最大規模の投資になるという。 さらに5月1日には、タイへの初のデータセンター投資が発表された。投資額は明らかにされていないが、情報筋によると10億ドル規模とされる。このデータセンターは、Eastern Economic Corridor(EEC)に設置される予定だ。 翌5月2日には、マレーシアへの22億ドル規模の投資計画を公表。今後4年間で実施されるこの投資には、同国でのクラウドおよびAIインフラの構築、20万人を対象としたAIスキル育成機会の提供、マレーシア政府との連携によるAIエクセレンスセンターの設立、サイバーセキュリティ能力の強化などが含まれる。 また同社が2024年2月に明らかにしたインドにおけるAIスキル育成プログラムも無視できない。このプログラムは2025年までにインド国内200万人を対象に実施される予定で、新興都市や農村部の学生や求職者が主な対象になるという。