【Q&A】配備見直しで注目。「イージス・アショア」って何?
Q:なぜ配備を見直したの?
安全に運用するためにはイージス・アショアの迎撃ミサイル「SM3ブロックIIA」を改修しなければならず、コストと時間がかかることが分かったためです。 迎撃ミサイルには、発射後に切り離される「ブースター」という推進装置が付いています。防衛省はこのブースターについて、安全な場所に落下させられると説明してきました。しかし、安全な場所に確実に落下させるためには迎撃ミサイルの改修が必要で、10年という期間と2000億円以上の追加コストがかかることが判明したのです。 河野防衛相は「コスト、期間を考えれば合理的ではないという風に判断せざるを得ない」として、計画停止を決めたと説明しています。
Q:計画がなくなったら、弾道ミサイル対策はどうなるの?
日本は現在、沖合に展開している海上自衛隊のイージス艦が24時間365日、ミサイル防衛の任務に当たっています。イージス艦がミサイルを迎撃できなかった場合は、地上に配備されている航空自衛隊の地対空誘導弾の PAC3が撃ち落とすことになります。これにイージス・アショアが加わることで「三段構え」のミサイル防衛となる予定でしたが、計画停止を受け、日本政府は当面イージス艦とPAC3による態勢を継続する考えです。
Q:イージス・アショアに代わる計画はあるの?
イージス艦を増やすことや、米軍の別の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の導入などが考えられます。ただ、これらは以前も検討されたことがあり、コストや人員確保などの面で課題があります。 イージス・アショアの計画停止を受け、自民党内では敵のミサイル発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」を保有すべきだとの議論も再燃し始めています。これに呼応するように、安倍晋三首相は6月18日の記者会見で「あるべき抑止力の在り方について新しい議論をしていきたい」と述べ、国の外交・防衛の基本指針となる「国家安全保障戦略」を見直す考えを表明しました。敵基地攻撃能力についても検討される見通しで、憲法9条や専守防衛の考え方との整合性が問われることになりそうです。