自らの手で解体することで、肉の美味しさをより深く知る体験プログラム【三陸・大槌のジビエプロジェクト vol.02】
大型のシカを自分の手で解体するワイルドなプログラム
三陸のほぼ中心に位置する大槌町で知られる「大槌ジビエ」。『害獣』を『まちの財産に』を合言葉に、捕獲したシカを地域資源として活用した事業を行っているMOMIJI株式会社。今回は、MOMIJI株式会社のシカを中心としたジビエサイクルの考え方から生まれた「大槌ジビエツーリズム」より、三陸・大槌の自然を体感、ジビエを通じて命を学ぶ体験プログラムをご紹介します。 【写真】ジビエを通じて命を学ぶ体験プログラムの中身を見る(全6枚) そのひとつ目が、「ハンター直伝! 解体体験&大槌鹿と海の幸のBBQ~自分で肉を捌いて食べる~」と題した鹿肉解体のプログラム。 会社の代表兼ハンターでもある「大槌ジビエ」の生みの親・兼澤幸男さん指導のもと、1頭のシカを参加者自身で解体。一連の流れを体験することで「生きていた動物の命をいただく」感謝の気持ちをリアルに感じることができて、しかも「おいしい!」「子供の食育にぴったり」と評判も上々です。
生きて走りまわっていたシカの命をいただくこと
スタートは「大槌ジビエ」や「大槌ジビエソーシャルプロジェクト」のレクチャーから。その後、解体場所へと移動すると、子供の背丈の2倍ほどあるシカが1頭吊るされています。 解体に使用するシカは、猟場の新山高原で兼澤さんが撃ってきたもので、頭または首を狙い一発で即死させたもの。工場に搬入、捕獲後1時間以内に内臓・皮・頭を取り除く一次処理を終わらせ、その後、解体・精肉しやすくするため1日程度吊るして肉を落ち着かせたものです。 つい1日前に、山を駆けまわっていた生き物が、目の前で「肉」として吊るされていることに参加者は思いを巡らせます。部位の説明を受けたあとはいよいよ「大バラシ」と言われる解体作業で、前足・後ろ足・ロース・ヒレを、各2本ずつナイフで切り分けていきます。普段、魚もさばいたことがない、包丁を握ったことがない人でも、熟練のスタッフが丁寧に教えてくれるので安心です。
大バラシから精肉作業までの流れを知る
切り離した部位は一つひとつがずっしりと重く、肉を実際に持った子供たちから歓声が上がります。また「このシカは何歳だと思う?」と子供たちに聞くと、15~20歳くらいという答えが多く、本当は3歳のシカであることを知って驚くなど、見て・触れて・学び・食べる食育プログラムになっています。 そして大バラシのあとは骨から肉を切り離していく「精肉」作業。BBQで食べるためのサイズに切り分けます。参加者はここで初めて、スーパーなどで売っている肉の形になることを認識します。 最後は、切り分けた「大槌ジビエ」を実食。BBQならぬGBQで、焼き立てをほおばります。赤身独特の旨味が詰まって、臭みがなく柔らかい肉質に「おいしい!」「おかわり!」の声が。鹿肉はほかの肉と比べて脂肪が少なく高タンパク。鉄分も豊富なヘルシー食材として注目されています。解体体験は1kgあたり8000~1万円の鹿肉のお土産つきで、季節に応じて通年で開催。詳細は「大槌ジビエツーリズム」HPまで。
兼子梨花