「神秘的で謎に満ちた、慎み深いご一家」日本の皇室、フランスでの報道とは?
異例の皇位継承
近年、日本の皇室を巡るもうひとつの大きな出来事があった。2019年の明仁天皇の生前退位(譲位)だ。例外的かつ歴史的な出来事だが、日本人は数年前からそうなることを知っていた。1989年に即位した天皇は、2016年8月に退位の意向を表明した。「幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています」とテレビで述べたのだ。1933年12月23日生まれの明仁天皇は、第二次世界大戦敗戦後、アメリカの意向で1947年に制定された日本国憲法の下で即位した最初の天皇となる。これまで生前退位した最後の天皇は、1817年の光格天皇だった。 残念に思う気持ちはさておき、この退位は現実的な法律問題を引き起こした。当時、天皇の生前退位に関する法律がなかったからだ。2017年6月、日本の国会は、明仁天皇が年齢的な理由から退位することを認める特例法を可決し、公布の日から3年未満で施行することとした。こうして2年後の2019年4月30日、明仁天皇は退位した。厳粛に執り行われた式典の模様はNHKで放送され、黒い冠をつけた明仁天皇は、皇居内のいくつかの聖域で皇室の祖先と神に退位を報告した。 いずれにせよ、明仁天皇はその人間性で日本に足跡を残した。日本列島に頻繁に起こる自然災害の被災者を夫妻で見舞う姿は人々の記憶に残る。今日、彼の息子も自らの治世に共感と現代性を吹き込もうとしている。
text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)