GPUとCPUは「維持」と「待ち」が多かった2024年
年間を通してX3Dシリーズが輝いたRyzen
1年を通して、コンスタントに新製品が投入されたのはAMDのRyzenだ。まず2月には、Socket AM5対応のAPU「Ryzen 8000G」シリーズが3モデル登場した。とりわけ下位の「Ryzen 5 8500G」はGPUにRadeon 740Mを内蔵して3万円弱となり、「最低限の性能でゲームも楽しみたい層に人気」とまずまずの評価を受けていた。 8月になると、新世代となる「Ryzen 9000」シリーズが下位から販売開始し、お盆明けには最上位の「Ryzen 9 9950X」(初回12万円前後)を含む4モデルがそろう。 それから1カ月強遅れた9月末には、対応する「AMD X870E/X870チップセット」を搭載したマザーボードも登場し、USB4などの新機能がフル活用できる環境が整った。当時の反応は「USB4対応を求める人はまだ少なく、それより底値になったAMD X670E/X670マザーと組み合わせる人が多い印象です」(TSUKUMO eX.)というコメントに象徴される。 一方で、年間のRyzen人気を牽引したのが2023年4月に登場した「Ryzen 7 7800X3D」だ。L3キャッシュを96MB搭載し、ゲームパフォーマンスの高さと年明け早々は6万円を切る割安さから、Intel Core優勢の状況でも一番売れるCPUに挙げるショップが珍しくなかった。価格は夏頃から高騰し、9月には8万円弱までになったが、それでも存在感を保っていた。 そしてRyzen 9000世代のX3Dモデルが待ち望まれる中で、11月初旬には「Ryzen 7 9800X3D」が8万7000円弱で登場した。販売開始直後から飛ぶように売れ、「1つの型番のパーツとしては2024年一番の人気」との評価が各ショップから聞かれた。 以上のように、グラフィックスカードは主流を張るGeForceが静かにシェアを維持し、CPUはCore UltraやRyzen 9000シリーズの登場などで沸いた1年だったといえる。大きなシェアの変動はなかったが、自作PC市場のトレンドを見るとビジュアル面でも動きがはっきり見て取れる。後編ではそこに着目したい。
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