“妊娠の可能性広げる選択肢”「卵子凍結」ってどんなもの? 専門医に聞く 東京都が助成スタート
■欲しい子供の数と年齢の関係
――生理の悩みが不妊や病気に繋がるリスクがあることがわかりました。だからこそ、かかりつけの産婦人科が大切なんですね。 今、日本では約6割の人が「将来、子どもは2人欲しい」と答えていますが、もし、2人子どもが欲しい場合、27歳までに妊活を始めると達成確率は90%と言われています。第1子の平均出産年齢は30.7歳ですので、すでにお子さん2人を自然妊娠で90%授かれるゾーンは過ぎています。4人に3人は自然で授かれるけれど、4人に1人は不妊治療に進む、というゾーンに入っています。
実際2020年のデータでも“2人目不妊”で、4組に1組が2人目を不妊治療で授かっているので、この図のデータとも一致しています。30年前は1人目の出産年齢は26歳でしたので、自然に2人授かることはあたりまえでしたが、今は、こどもを望んでもなかなか授からないカップルが増えてきていると言えます。 ――改めて、東京都の卵子凍結への助成をきっかけに、どんな理解が広まってほしいですか? SRHR=セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)という言葉がありますが、今、その重要性が世界的にも認識されています。WHOの定義では、全てのカップルと個人が、出産する子供の人数、間隔、時期など自由に責任をもって決断することができる権利、そのための情報と手段を持つ権利、できうるだけ最高水準の性と生殖の健康を手に入れる権利としています。 具体的には、リプロダクティブヘルスに含まれる意味ですが、「こどもを産む・産まないは自分で決めること」、「興味がないことも普通のこと」。性教育の遅れから避妊について男性主体であること、性同意を知らない人もいることが課題としてあります。 自分で決めるためには情報が必要で、避妊の方法や不妊治療、妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、自分で決められるようになることが大切です。