「バイラルメディア」安易なシェアに潜むリスク うまく付き合う3つのポイント
バイラルメディア(Viralmedia)と呼ばれる形態のニュースが流行っています。「Viral」は「ウイルス性の」という意味です。お堅い真面目なニュースではなく、SNSでシェアされやすい「思わず口コミしたくなる」砕けたコンテンツを中心に掲載するのが特徴です。 ハフィントン・ポストの共同創設者、ヨナ・ペレッティによって2006年に設立されたBuzzFeedが先駆者としてよくとりあげられます。BuzzFeedはシェアされることを前提としたコンテンツ、ネイティブ広告で運用するビジネスモデル、月間1億5千万人が訪れる巨大メディアに成長した、といった点から「新しいニュースの形」としてメディア関係者からも注目を集めるようになりました。
バイラルメディアは誰でも簡単に作れる
国内のバイラルメディアの大半は、過去に話題を集めた動画や写真を再掲載する手法をとっています。こういったコンテンツを掲載する場所を用意すれば誰でも「それっぽい」サイトを作ることができます。簡単に手順を書くとこのようになります。 1) ドメインを取得する 2) コンテンツ掲載用のブログを契約する 3) シェア用のボタンを付ける 4) インターネットで昔ヒットしたコンテンツを掲載する 月額2千円もあれば、専門的な知識やメディア運営の経験がなくても誰でも「バイラルメディア運営者」になることができてしまいます。「バイラルメディアの構築キット」というものまであり3万円で販売されています。 一番簡単な方法は、ネタコンテンツを探して、Twitterで呟いていれば、即席バイラルメディアのできあがりです。
シェアされればデマでもいいという考えのリスク
1. 新たなメディアの形として注目された 2. BuzzFeedという成功例が存在する 3. 誰でも簡単に作れる という3点から、ここ1年程で国内でも注目を集めるようになり、既に40近い「バイラルメディア」が乱立しています。 誰でも簡単に情報発信ができるようになると「記事の質や、内容の信憑性は保障されない」という問題が生まれます。かつ、バイラルメディアは「事実」を伝えることを目的としてはおらず「話題になりやすいネタ」を競い合い「閲覧数」を追い求める傾向が強いメディアです。 中には明らかに「虚(デマ)」である情報を掲載して「閲覧数」を稼ぐ、モラルのない運営者も出てきています。こういったデマをデマと知りつつ掲載し、拡散することは「名誉毀損」や「風説の流布」で逮捕されるリスクもあります。 SNSの普及以降、誰でも情報を発信することができるようになり、時にはマスメディアを動かすほどの「拡散力」を個人が持つようになってきています。このような状況に対して各国の政府では「デマ拡散時の罰則強化」に乗り出してきた国も出ています。中国では、国家を中傷する悪質なデマを掲載し、それが5千回の閲覧、500RTされると「デマを拡散した」として、3年以上の禁固刑に問われるというガイドラインが発効されています。