号泣者が続出した映画『かくしごと』で、杏が体現する“子を守る母”としての痛烈な思い
関根光才監督の待望の第二作目の長編映画『かくしごと』が6月7日(金)に公開されます。子を守る母親の愛と嘘の物語です。原作は「ミステリー作家が描く感動小説」として評価も高い、北國浩二さんの『噓』(PHP文芸文庫)です。本稿では、5月7日に行われた完成披露試写会の様子をお伝えします。 【写真】杏さんにカーネーションを手渡す中須翔真さん
『かくしごと』キャストが語る、それぞれの役どころ
主人公の千紗子役を演じるのは、俳優の杏さん。本作では、血の繋がりを越えて1人の少年を守る母親の役を演じています。強烈な母性を体現する印象的な役どころですが、出演の依頼が来た時には「今の自分だからこそ演じることができる役」と感じたそうです。 杏さん「大人になってから年月を重ねていくにつれて、子どもが巻き込まれるニュースにどうしようもない悲しみを覚えるようになりました。それを思い切り体現できるのはこの役だと感じています」 そして千紗子と一緒に暮らす少年を演じた中須翔真さんは、疑似家族を演じた杏さん、奥田瑛二さんとの撮影現場での裏話を明かします。 中須翔真さん「撮影場所が山奥でコンビニやスーパーが何もなかったので、杏さんが食べ物を差し入れしてくださって、すごく助かりました。また、奥田さんにはあるシーンで演技を教えてもらいました...その詳細は言えません...(笑)。お二人にはとてもお世話になりました」 最初はとても緊張していたという中須さんですが、杏さん、奥田さんが話しやすい雰囲気を作ってくれたおかげで自由に演技をすることだできたと明かします。「ありがとうございます!」と笑顔で感謝の気持ちをお話されました。 奥田さんは、自身の役作りのためにあまり人と話したくないと考えていたそうですが「中須さんにはどうしても声をかけたくなってしまった」そう。中須さんについて「彼は、素直でとても良い子。映画をみていただければ、一発でわかりますよ」と太鼓判を押します。 認知症で娘の存在も忘れ、日に日に衰えていく父・孝蔵役を演じた名優・奥田瑛二さんは、静かながらも力強い演技で、観る者の心を揺さぶります。しかし、孝蔵の役柄については「ネタばれになるので申し上げられません」と一刀両断! シングルマザーであり、千紗子の嘘を唯一知る久江役を演じた佐津川愛美さん。千紗子の共犯者とも言える役どころですが、佐津川さんご自身も久江に「共感した」と心情を語ります。 佐津川愛美さん「久江はシングルマザーで、自分しか子どもを守る人がいないという思いを持っています。私は母親になったことはありませんが、久江の気持ちはとてもよく理解できました。登場人物みんなの気持ちがすごく共感できるもので、キャラクターそれぞれが大切にすべきものを思って行動しているんです」 佐津川さんのお話に深くうなずいていた安藤政信さんは、少年を虐待していた父親・安雄を演じています。安藤さんは、作品を読んで「数え切れないほど泣いた」と大絶賛。 「年齢を重ねて得た経験や感情が、台本の中に詰まっているような気がしました。そして主人公を自分も演じてみたいなと思ったほど、千紗子は本当に素敵なキャラクターだと思います」と、千紗子役へのあこがれを吐露。 これに対して関根監督は「安藤さんが衣装合わせの時に、『自分、千紗子の役を演じたいです』とおっしゃっていて...。どうやら冗談ではなく本気だったようです(笑)」