2050年までにチョコレートが食べられなくなる? 温暖化の影響を受け生産可能になった世界のエリアもーーこの先、生き残るのは誰か
「スマートタワー」、気候インテリジェンス、アプリなどテクノロジーで生産支援
カカオ豆不足をこれ以上長引かせず、今後生産を強化するために必要なのが、近代的な農業技術の利用を広めること。中でもハイテクの導入は重要だ。実際、南米では効果を上げつつあるという。 例えば、コロンビア。データをビジュアル化してわかりやすく解説するウェブサイト『World Population Review』によると、収穫量では世界第10位(2022年)のコロンビアでは、カカオ豆を生育する方法を変革するといわれるColombian Cocoa Control System(COLCO)が、現在500人の農民、260軒の農家を支援している。目標は、国内の農民の10%に当たる5,000人を訓練することだという。 COLCOが用いるテクノロジーの1つが、3Dプリントで作り出された「スマートタワー」だ。センサーが内臓されており、農家が収穫後、発酵作業を行う際に、最良の条件で作業を行えるよう、温度、湿度、pH レベルを監視する。 カカオ豆の質を判断するアプリも開発・利用されている。コンピュータービジョン技術を利用し、カカオ豆の色やサイズ、バリエーションに基づき、客観的に品質を評価する。これを用いることで、農家と加工業者の両方が品質についての公平性を確保できる。と同時に、完全なトレーサビリティと情報の発信元の評価を行うことも可能だ。 気候インテリジェンスも採用している。気候インテリジェンスは、農家の意思決定や作物を守りつつ、最大限収穫できるようにするにはどこに資金を投入するのが適しているかを決める際の手助けになっている。 また第7位の生産国ブラジルでは、従来の労働集約的な作業から効率が良い方法に切り替えた農場もある。小さな列車の形をした機械を開発し、カカオポッドの収穫を自動化し、効率アップに成功している。 ほかにも、灌漑システムや、病気や気候の変化に強い遺伝子組み換えを行った改良種子など、カカオ豆生産にテクノロジーによる支援が採用されている。