顧客データが民主化される時代、企業CRMは大きく変わる ~ブロックチェーンを活用した大規模企業連携の手法とは~ 【web3 Jam ✕ N.Avenue club共同企画ワークショップ・レポート】
顧客データが民主化される時代、企業CRMは大きく変わる~ブロックチェーンを活用した大規模企業連携の手法とは~
最初に、web3 Jamを立ち上げたNTT DigitalのSales & Marketing Senior Manager、伊藤篤志氏が登壇、プロジェクトの概要や狙いなどについて解説した。 伊藤氏は、企業経営においては利益創出だけでなく「経済的な価値」と「社会的価値」の両輪求められるが、それぞれの企業が1社ずつ立ち向かうのは難しいのではないかと指摘。そして、企業やグループ、経済圏の中でシステムの”サイロ化”が進んでおり、これが企業間連携を実現する際の課題になっているとした上で、「ブロックチェーンを巨大CRMに見立てて活用することで、サイロ化を解消する。そうすることで、異なる企業間での相互送客・連携も可能になるのではないか」などと主張した。 5月22日にプレスリリースされ、14社の賛同で始まったweb3 Jamは現在、20社に拡大。参画する企業には、主に3つのメリットがあるといい、それは①Web3マーケティングをライトにトライアルできること、②類似した課題・テーマを抱えた企業とのコラボができること、③先進技術/CSRなどによるソーシャルブランディングが可能なこと、だ。 web3 Jamに参画した企業は、NFT保有状況に応じてターゲティング・特典配布ができる。配布したNFTを活用してマーケティングなどの施策を行い、その効果を測定できるのだ。これによって、D2C視点が構築できるほか、顧客行動・嗜好を多面的に把握できる。また潜在顧客層にリーチするなど、「Web2では実現することが難しかったことがライトにできるようになる」ことが期待されている。 まずプロジェクトが取り組む社会課題として「健康」が取り上げられるといい、25年1月にはキャンペーンが行われる予定とのこと。Web3に強い関心がある層以外からも広くユーザーを獲得するため、Web3であること、NFTやウォレットを活用していることを感じさせないUXを目指すという。 伊藤氏に続いて、web3 Jamのプロジェクト運営に関わる博報堂キースリーの代表取締役社長、重松俊範氏が登壇。なぜ広告会社がWeb3のプロジェクトに取り組んでいるのかなどについて話した。 重松氏は、個人情報の規制強化や顧客獲得単価の高騰など、業界がさまざまな課題を抱える中で、ブロックチェーンの活用による新しい広告モデルを構築することが、企業のマーケティングに新しい価値をもたらすなどと指摘。「ユーザーの行動を、オンラインだけでなくオンチェーンでも追えるようになる。そこにWeb2の情報を足し合わせれば、マーケティング・ターゲティングがしやすくなる」などと強調した。