個人情報盗み企業にサイバー攻撃 生成AI同士の攻防も激化 NTTデータが最新動向公表
■北朝鮮技術者が暗躍
生成AIの脅威は国の安全保障にも直結している。新井氏は「北朝鮮のIT技術者が外貨獲得のために各国に派遣されている」と指摘する。生成AIを悪用して履歴書用の偽写真を作成し、米国に住む実在の人物になりすましてIT企業に採用されたケースもあるという。
北朝鮮は大学や工作機関で技術者を養成する。サイバー攻撃や機密情報の収集、暗号資産の窃取などを任務としている。日本でも、北朝鮮のIT技術者が中国企業などと偽ってアプリ開発に関わることもあり、ここで獲得した外貨がミサイル開発などに使われているという。
サイバー攻撃には、情報収集や脆弱性の発見、ネットワークへの侵入や情報の不正送信など、さまざまな手順がある。生成AIによって、人の作業よりも早いスピードで24時間休みなく、攻撃が仕掛けられるようになりつつある。
一方で、新井氏は「偽情報の特定や検出に使用できる技術も開発されており、来年以降の普及が期待される」とも説明した。生成AIの開発大手は倫理規定を設け、犯罪などに悪用されないように対策している。さらにカメラメーカーなどがデジタル画像の作成元や編集履歴を追跡できる技術の標準化にも取り組んでいるという。(高木克聡)