障害者アートをカレンダーに 「ファン」増やし描き手支援へ 高知
障害を持つ人たちのアート作品を集めた「高知アートカレンダー2025」が完成した。高知県内の障害者就労支援施設の通所者や精神科病院の入院患者ら12人の絵を集めた。県内20の企業などからの協賛金140万円で製作し、著作権使用料の支払いなどを通じて障害を持つ人たちの自立支援につなげたい考えだ。 【写真で見る】「高知アートカレンダー2025」 高知市の印刷会社「弘文印刷」が製作を担当した。2021年10月、同社の楠(くすのき)淳一社長が障害を持つ人たちの美術作品を集めた県障害者美術展(スピリットアート)を鑑賞したのがきっかけ。「一般のアーティストとは全く違った感覚の作品ばかり。カレンダーにして作家の『ファン』を増やせば、障害者の社会参加と自立支援につながる」と考えた。23年に高知アートカレンダー2024を初めて製作。初回は県内10の企業などが協賛したが、2回目となる今回は協賛企業などが倍に増えた。 25年のカレンダーでは、9枚の絵を同県南国市の障害者就労支援施設「南国にしがわ農園」の通所者8人が担当した。同園では近隣の自治体から通う29人がグアバの栽培や製品加工に当たり、農閑期(1~7月)の雨の日などには絵を描く活動にも取り組んでいる。もともとお昼休みに絵を描くなど絵が好きな通所者が多かったことから、才能を伸ばす機会を作ろうと、20年にプロの美術家を講師に招いてレッスンを受け、以来、施設の日常活動に取り入れた。 園の通所者で、「未来」というタイトルの絵が採用された同市の西岡弘志さん(53)は「絵を描くのが趣味で、自分の心も安らぐ。見てくれる人がいると楽しいので、これからもいい絵を描いていきたい」と話す。25年のカレンダーではこのほか、高知市の精神科病院「海辺の杜ホスピタル」(岡田和史院長)の入院患者ら4人の絵も採用されている。 協賛企業などが1社当たり7万円(税込み)の協賛金を支払って社名入りのカレンダー100部を受け取り、取引先などに配布する仕組み。協賛金の中から作者への著作権使用料を支払うほか、障害者の作業所に製作を委託して製作費を支払う。弘文印刷の楠社長は「今後も協賛企業を増やし、障害を持つ人たちが自分の好きなことで自立できるよう後押ししていきたい」と話す。 協賛企業の一つ「株式会社フタガミ」(南国市)は、県内で運営するホームセンター「マルニ」「ハマート」「ブリコ」「ホームセンター佐川」の計17店舗で12月上旬からカレンダーを販売する。1000円(税込み)で限定100部。利益は全て寄付に充てる。問い合わせは同社ホームセンター部(088・856・8711)。【袴田貴行】